海外進出白書

コロナ禍から読む!企業の海外進出ナレッジ #3 課題とニーズ編

2022年9⽉5⽇ 公開

⾃社の強みを最⼤限に活かすための海外進出とは?

コロナ禍から読む!企業の海外進出ナレッジ #3 海外進出の課題とコンサルティングニーズ編

コロナ禍において、海外進出を検討する企業の課題はどのように変わったのでしょう。これらを知ることで、課題クリアの先にある海外進出の勝機を推察できるはずです。

 

「海外進出⽩書リスク管理版 2020-2021(発⾏:株式会社Resorz/制作協⼒:AIG損害保険株式会社)」のデータをもとに、海外進出時の相談内容の変化や新型コロナウイルス感染症の影響について考察していきます。これから海外進出を検討する皆さまの参考となれば幸いです。

コロナ禍で激変!? 海外進出する⽇本企業の課題・ニーズとは?

2020年度のコロナ禍で「海外進出コンサルティング」のニーズが急増

下記のグラフは、海外進出を検討する企業から、海外ビジネス⽀援プラットフォーム「Digima 〜出島〜」に寄せられた相談内容をランキング化したものです。例年は「営業代⾏・販売代理店探し」に関する相談が圧倒的に多かったのに対し、2020年度は「海外進出コンサルティング」がそれに⾁薄しているのが⼤きなトピックとなっています。

海外進出時の課題・ニーズランキング(2020年度)※上位15位までを抜粋

昨年と⽐較して伸びたのが「海外進出コンサルティング(4位→2位)」「海外市場調査・マーケティング(6位→5位)」「海外アポイント取得代⾏(29位→12位)」となっています。また、順位だけでなく割合として⾒てみると、「輸出⼊・貿易・通関」に関する相談の割合が増加し、「海外会社設⽴・登記代⾏」の割合が減少しました。こうした相談内容の変化の要因としては、新型コロナウイルスの影響があります。

コロナ禍で激しい浮き沈みをみせた海外進出の課題とコンサルティングニーズ

先ほどの課題・ニーズランキングにおける主要な相談内容を、⽉別の推移として表したのが下記のグラフです。

海外ビジネスに関する相談内容の⽉別推移(2020年度)

2020年度は「新型コロナウイルス感染症」が⽇本でも広がり、緊急事態宣⾔が発出されている状況でスタートしました。4⽉に関しては例年とそれほど変わらない割合だったのですが、5⽉になると「海外進出コンサルティング」が⼤きく割合を伸ばし、「営業代⾏・販売代理店探し」が割合を減少させています。

 

また、2019年度までは問い合わせとしてほとんど寄せられていなかった「海外アポイント取得代⾏」のニーズが出てきます。そうした傾向は6⽉以降も続き、8⽉のタイミングで「海外進出コンサルティング」が「営業代⾏・販売代理店探し」のニーズを逆転してしまいます。

 

しかし、10⽉ごろから、「営業代⾏・販売代理店探し」の相談が例年並みに増加していきます。そして、2⽉のタイミングで再び、「海外進出コンサルティング」が「営業代⾏・販売代理店探し」のニーズを逆転します。また、2019年度にほとんどニーズのなかった「海外アポイント取得代⾏」のニーズは通年を通して安定して維持されています。

コロナ禍で翻弄された、海外進出のマインドとアプローチ

2020年の4〜9⽉は、4⽉に発出された「緊急事態宣⾔」を受け、⾃社の海外事業について再検討しなくてはならない状況になりました。その結果、海外進出コンサルティングのニーズが増加し、販路拡⼤に関するサポートのニーズが落ち込みました。また、そのような状況下で、「オンライン商談」という⼿段が⽣まれ、商談機会を調整する「現地アポイント取得代⾏」のサービスへのニーズが増加しました。

 

そして、その期間で、コロナ禍がすぐに収まるものではなく、付き合っていかなければいけないことだという認識が形成されていきました。その上で、コロナ禍でできることを模索していくようになります。それに呼応するように、海外ビジネスをサポートする企業側も、コロナ禍に対応したサービスを新設させていきます。先述した「海外アポイント取得代⾏」に関するサービスや、オンライン完結型の販路開拓サービス、越境ECに付随するサービスなどです。

 

そうした⽀援側のサービスの充実もあり、11⽉には例年と同様の相談内容割合へと変化して⾏きます。しかし、2021年1⽉に再び「緊急事態宣⾔」が⼤都市圏で発出されます。その結果、「海外進出コンサルティング」の相談が再び増加し、「営業代⾏・販売代理店探し」が落ち込んでしまいました。以上のような経過が、2020年度の海外ビジネスをめぐる状況です。

実例をご紹介!海外進出に際する企業の不安とは?

急増した「海外進出コンサルティング」へのニーズとは、実際にどのようなものなのでしょうか。イメージしていただけるよう、海外ビジネス⽀援プラットフォーム『Digima 〜出島〜』へ寄せられた実際の相談内容をご紹介していきます。

アメリカ進出を計画する製造業の場合

名前
製造業

アメリカへの越境EC展開について検討しています。と⾔いますのも、弊社ではハイエンド家具の製造・販売を⼿掛けておりますが、従来の販売⼿法が今後は厳しくなっていくと予測しています。
 

そうした販売⼿法について、越境ECがどうかという案が社内では上がっておりますが、ハイエンド家具という性質上、それが可能かどうかも疑問があります。そうした課題について、相談できる企業はおりますでしょうか?

欧⽶への進出を計画する卸売・⼩売業の場合

名前
卸売・ ⼩売業

ゲーミングデスクの販売が好調となり、海外でのニーズも⼤きいことから、販売会を検討しています。これまで、販売に関しては国内中⼼でやってきたため、海外展開のノウハウを持ったコンサルティング企業に相談したいと考えています。
 

事業戦略の⽴案や調査、マーケティングといった全体の流れをサポートして頂ける企業を希望します。

ヨーロッパへの進出を計画する製造業の場合

名前
製造業

欧州拠点の縮⼩を余儀なくされています。コロナに関してはいずれ落ち着くと考えていますので、その際に再度拡⼤させていくためのロードマップ、戦略について相談できる欧州ビジネスに強いコンサルタントを探しています。マーケット調査や予測などのデータを持っている⽅が良いです。

いま必要なのは、特定の業界に精通した海外進出コンサルティング

コロナ禍において、ニーズが増加したもの、販売形態の変更を余儀なくされたもの、戦略⾃体の変更が求められているもの、そのような案件について、海外ビジネスの専⾨家として総合的なサポートが求められる際に、コンサルタントの⼿を借りたいという企業が多かったようです。

 

世界的なパンデミックという未曾有の状況においては、複数の課題が複雑に絡み合ってきます。そうした際の解決⽅法として、「コンサルティング」を活⽤しようとする企業が増加しました。

出典

本原稿および全てのグラフは、2020年4⽉〜2021年3⽉の期間に、海外ビジネス⽀援プラットフォーム『Digima 〜出島〜』へ寄せられた海外進出相談と海外進出企業23,000社を対象に実施したアンケートをもとに作成された「海外進出⽩書〈リスク管理版〉」を出典元にAIG損保で編集したものになります。

海外ビジネス⽀援プラットフォーム「Digima 〜出島〜」のページ(外部のサイトに移動します)

詳しくは「海外進出⽩書リスク管理版 2020-2021
(企業の海外進出ナレッジ #3 海外進出の課題とコンサルティングニーズ編)」をご覧ください。

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