海外進出白書

専⾨家に聞いた、海外進出のチャンスがある業種

2024年8⽉19⽇ 公開

コロナ禍を経てどう変わった!? 専⾨家に聞いた、海外進出のチャンスがある業種

近年は、新型コロナウイルスの影響やウクライナ危機、円安ドル⾼の流れなど、⽇本企業の海外ビジネスに影響を与える出来事は毎年のように発⽣しています。こうした時代背景を踏まえて、海外ビジネスの専⾨家たちは「どの業種」に海外進出のチャンスがあると考えているのでしょうか。アンケート調査の結果と、回答コメントをご紹介します。

この記事は、AIG損保と海外ビジネス⽀援プラットフォーム『Digima 〜出島〜』(運営:株式会社Resorz)が協⼒して制作した「海外進出⽩書2022-2023」の中から、AIG損保が注⽬したトピックを⼀部編集してご紹介しています。

「海外進出⽩書2022-2023」をダウンロードする

専⾨家が選んだ「海外進出のチャンスがある業種」は?

⽇本企業の海外進出をサポートしている事業者に対して、「今(2023年)、最も『海外進出のチャンス』があると思う業種は?」という質問をしたところ、以下のような結果となりました。

⽇本企業の海外進出動向調査

調査概要:『Digima 〜出島〜』によるインターネット⾃主調査
調査対象:海外進出をサポートする事業者144社
調査期間:2023年4⽉4⽇〜4⽉21⽇

回答:今、最も「海外進出のチャンス」があると思う業種は?(単位:%)

健康ブーム、⽇本⾷ブームは健在!コロナ禍を越えた「飲⾷業」

国内の飲⾷業を眺めてみると、コロナ禍からの⽴ち直りが進んでいる印象があります。加えて、宅配サービスが発展したことにより、外⾷産業が家庭内での消費活動に進出し、⼤きなチャンスが広がっているようです。

そして、世界的には、健康ブームを背景に、⽇本⾷への関⼼の⾼まりがあります。これらを総合的に鑑みて「飲⾷業」にチャンスありと回答した専⾨家が増加しているようです。
コメントには下記のようなものがありました。

名前
マーケティングの専⾨家

⽇本の料理や⾷材を活⽤したビジネスがますます盛んになってきているが、マーケットのニーズを⼗分に開拓できていない事象が多く⾒受けられる。

名前
マーケティングの専⾨家

世界中で⾷⽂化が多様化しており、海外市場での需要が⾼まっている。特に、⽇本の⾷⽂化やフランスのワインなど、各国の伝統的な⾷⽂化に注⽬が集まっている。

名前
ASEANビジネスの専⾨家

飲⾷は⽇本においては成⻑しきっているが、ASEANにおいては今が成⻑期

その他のコメントを⾒ていても、まだまだ⽇本⾷に関するニーズが⼤きいとされていました。最近までのインバウンドの盛り上がりによって「本物の⽇本⾷」へのニーズの⾼まりもあるでしょう。⼀⽅で、そうしたチャンスを活かすために、ブランド確⽴は必要不可⽋です。

現状では、⽇本⾷の商機に⽬をつけた中国企業や韓国企業、そして欧⽶企業までもが「⽇本⾷店」を運営し始めています。そうした企業に⽇本⾷ニーズを奪われないためにも、「本物の⽇本⾷」を提供しているというブランドを確⽴していくことは重要です。チャンスを活かせるかどうかは、⽇本企業の取り組み⽅や⼯夫にかかっていると⾔っても過⾔ではないでしょう。

コロナ禍を切り抜けるために断⾏した「製造業」の変⾰でチャンスが加速

製造業も、飲⾷業と同様にコロナ禍において⼤きく影響を受けた業種の⼀つです。⼯場の稼働は制限され、物流や消費活動そのものの落ち込みなど、影響は多岐にわたりました。その反⾯、そうした状況を切り抜けるために、⼤きな変⾰を起こした業種と⾔えます。効率化が進み、経営基盤が強くなった企業も少なくないでしょう。そのような中で、コロナ禍から⽴ち直った世界でのニーズ拡⼤が予測され、⼤きなチャンスがあると捉えられています。

また、そうした「変⾰」は、⽇本の製造業において遅れていた部分でもあるはずです。その点、他国に⽐べ更に可能性が広がっていると考える専⾨家が多く⾒受けられました。

名前
海外進出コンサルタント

⽇本企業は⾼度な技術⼒を有しており、その技術⼒を活かした海外進出が期待されます。特に、⼈⼯知能、ロボット、⾃動運転、バイオテクノロジー、再⽣可能エネルギーなどの分野は、将来的に⼤きな市場になると期待されています。

名前
ベトナム進出の専⾨家

⽇本で技能実習⽣として技術を学んだ⼈材が多いが、帰国後は同様の職種に就けずにサービス業などに従事している。⼀⽅で、産業育成により、改めて上記の様な⼈材を現地で集約することで、基礎レベルができた⼈材の獲得ができると考えるため。

名前
アメリカ進出プラットフォーム

⽇本初の⾰新的な製品を求めているアーリーアダプターはたくさんいますが、⽇本企業はD2Cマーケティングをしないので負けています。今後はマーケティングの重要性を認識し実⾏することができれば必ず成功します。

D2C(DtoC)とは「Direct to Consumer」の略で、メーカーやブランドが、既存の⼩売業者や代理店などを通さずに、直接(Direct)消費者(Consumer)に販売する仕組みやビジネスモデルを指します。

D2Cモデルに取り組む企業は、⾃らのプロモーションおよびマーケティングのみならず、販売はもちろんのこと、⾃社および商品のブランディングまでをもコントロールできるようになります。コロナ禍において、デジタルマーケティングを導⼊し、このD2Cに取り組み始める製造業も増加傾向にあります。その点から、専⾨家は⼤きなチャンスがあると予測しているようです。

⾼まる「医療・福祉」の重要性。⾼齢化が進んだ⽇本の技術・経験・ノウハウにチャンスあり

「医療・福祉」の分野は、コロナ禍以前から専⾨家の注⽬を集めていましたが、コロナ禍を機に回答が増えたため、今、海外展開にチャンスがある注⽬の業種と⾔えるでしょう。専⾨家からは、⽇本の技術品質が、他国に負けないレベルを維持しているというコメントが多数寄せられています。

名前
ベトナム進出の専⾨家

ベトナム⼈の⼀⼈当たりの消費⾦額が増えてきていることから、今後は中流層向け、富裕層向けの⼩売が発展していくと期待される。また同じく医療についても、ベトナム⼈の健康意識が⾼まっていることから、ヘルスケア分野のニーズが間違いなく⾼まる。

名前
ベトナム進出の専⾨家

医療・福祉分野は、介護ノウハウなどの分野で優位性がある。

また、医療だけでなく、福祉関連のコメントも多く寄せられていました。こちらも⽇本のサービス品質に⾔及するものが多く、⾼齢化がいち早く進んでいる⽇本における経験・ノウハウが、これから⾼齢化していく国でのチャンスにつながると捉えられているようです。

昨今の医療技術の⾼まりや先進テクノロジーの発達により、⼈類の寿命は120歳になっていくとも予測されています。そうした中で、ますます「⽇本発のシニア向けビジネス」が必要とされていくはずです。そこにチャンスを⾒出す専⾨家が多いようです。

全世界的な成⻑産業「IT・通信業」の主戦場はグローバル市場へ

テレワークの拡⼤・浸透、業務プロセスのデジタルシフトなど、「IT・通信業」はコロナ禍においてもビジネスチャンスが⽣まれていました。

最近ではChatGPTといったAIサービスが関⼼を集めたり、ブロックチェーン技術を基盤としたWeb3といった新たな潮流が⽣まれているなど、その技術⾰新により世界的にも成⻑産業となっています。そのことから、総合的にチャンスと⾒る専⾨家のコメントが多く寄せられていました。    

名前
マニラを選んだ専⾨家

AIの進化により、国境を越えるハードルが低くなっているため。また、仮想空間の技術が他業種へ応⽤され始めており、新ビジネスの創出が期待される。DXに対しての公的⽀援も⼿厚い。

そうした中で、⽇本企業がどのように存在感を⽰していくかが、⾮常に重要です。

IT・通信業における主なプレーヤーは3つに分けられます。インターネット・アプリサービスを提供する事業者、IT開発会社、そして通信インフラ業者です。それぞれが、海外に⼤きな商機を抱えています。

サービス提供者を取り巻くマーケットは、全世界的にも急速に発展しています。IT開発会社や通信インフラ業者に関しても、コロナ禍を端緒とするデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れで⼤きなチャンスがあります。ただし、⼀部の⽇本企業は依然として技術的優位性を持っているものの、全体的には中国やアメリカに⽔をあけられつつある状況です。

国内エンジニアの数も減少していく中で、いかに技術的優位性を獲得していくか、海外のエンジニアも視野に⼊れたグローバルな開発体制を築いていくことが重要であり、かつチャンスのあるポイントです。

出典

本原稿は、2023年4⽉に海外ビジネス⽀援プラットフォーム『Digima 〜出島〜』が海外進出⽀援企業を対象に実施したアンケートをもとに作成された「海外進出⽩書 2022-2023」を出典元にAIG損保で編集したものになります。

海外ビジネス⽀援プラットフォーム「Digima 〜出島〜」のページ(外部のサイトに移動します)

詳しくは「海外進出⽩書 2022-2023」をご覧ください。

海外進出サポート企業の実態や他の意識調査もご覧になれます。

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