海外進出白書

海外進出企業のリスク管理の内容、年間予算、運用体制

2022年12⽉2⽇ 公開

海外ビジネス担当265⼈に聞く! #2 海外進出企業のリスク管理の内容、年間予算、運用体制

ウクライナ危機、新型コロナウイルス感染症、スエズ運河の座礁、ミャンマーでのクーデターなど、海外ビジネスでは、国内とは異なるとリスクと向き合う必要があります。実際、海外展開に成功している企業は、海外展開におけるリスク管理を実施している傾向にあります。

 

では、海外進出企業はどのようにしてリスクを管理しているのでしょう? 実施内容や年間予算、運⽤体制について実態調査のデータをもとに考察していきます。

調査概要について

調査概要と回答企業のプロフィール

本調査では、海外進出を検討している・実施している企業の担当者にアンケート調査を⾏いました。調査概要と回答企業は以下のとおりです。

海外進出企業の実態調査

調査⽅法 :インターネットによる⾃主調査
調査対象 :⾃社の海外ビジネス展開を検討したことのある担当者265名
調査期間 :2022年 4⽉18⽇ 〜 5⽉10⽇

アンケート回答企業の業種

アンケート回答企業の所在地域

アンケート回答企業の売上規模

海外ビジネスの明暗をわける、成功企業の分岐点とは

⽇本とは環境の異なる海外ビジネスにおいて、事業を存続させていくとは簡単ではありません。海外ビジネスにおいて、事業をスタートさせるだけでなく、撤退せずに3年以上継続させられていることは、成功と⾔えるのではないでしょうか。そこで本調査では「海外事業を3年以上実施している企業」を「成功企業」と定義して、分析を⾏っています。

海外進出企業はどんなリスク管理をしている? 予算は? 体制は? 事例もご紹介

海外進出企業が実施しているリスク管理とは?

コンサルティング会社や弁護⼠、保険の⼿配といった「外部活⽤」に加え、リスク管理責任者や組織、管理体制の導⼊といった「内部体制」に関する回答もバランスよく寄せられています。内と外の両⾯から施策を実⾏していくことが重要であることがうかがえます。

回答結果:リスク管理について実施したこと

リスク管理にかけている年間予算は?

リスク管理にかけている年間予算は、成功企業のほうが予算をかけている傾向にあることがわかりますが、いずれにせよ年間100万円以下の企業が多数を占めている状況です。どれだけ予算をかけるかよりも、取り組んでいるかどうかが重要であることを⽰しています。

回答結果:「リスク管理」にかけている年間予算

売上規模10億円〜500億円の企業で⾒ると、どうでしょうか。

回答結果:売上規模10億円〜500億円の企業の「リスク管理」にかけている年間予算

売上規模10億円〜500億円の企業では、全体と同じように成功企業ほど年間予算をかけている傾向が⾒えますが、それほど⼤きな予算でなくても効果的であるということも読み取れる結果となりました。

リスク管理体制と対策⼿法の準備状況

リスク管理体制については、全体で⾒ると海外拠点(⼦会社や事務所)にリスク管理を担当する⼈材が設置されている割合は16.2%と少ない中、成功企業においては25.5%と上昇しています。

 

現地でのスピード感が重要なケースもあり、やはり現地に担当者を配置しておくことは、成功のポイントと⾔えるかもしれません。ただし、成功企業であっても⽇本本社での兼務・管理がまだまだ主流であることがわかります。

回答結果:「リスク管理」体制について

⻑期的な視点で考えた場合、担当者に属⼈化されていくより、マニュアル化するなどして誰でも同じクオリティでトラブル対応できたほうが望ましいでしょう。海外でのトラブルへの対応⽅法や⼿順を策定および運⽤している割合は成功企業のほうが多く、その重要性を⽰す結果となりました。

回答結果:海外でのトラブル時の対応⽅法・⼿順を策定していますか?

海外トラブル発⽣時の課題に対するリスクヘッジは専⾨家活⽤と保険がカギ

リスク管理の相談相⼿の有無と相談先

リスク管理について実施したこととして、「コンサルティング会社の⼿配」や「海外に強い弁護⼠の⼿配」が⾼い割合となりました。専⾨的な知識が必要となる「リスク管理」において、相談相⼿も重要な存在と⾔えます。

回答結果:海外進出における各種リスク管理の相談相⼿はいますか?

全体では「いいえ」と回答した企業が多いのに対し、成功企業では、「はい」という回答が逆転していることがわかります。

回答結果:各種リスク管理の相談相手はどのような方ですか?

「顧問弁護⼠」が過半数を超えているのは想定どおりですが、続く回答が「海外進出⽀援機関」「取引先」「銀⾏」といった相⼿であり、「保険会社」「保険代理店」の割合が少ないことは注⽬すべきポイントです。海外ビジネスにおいて「リスク管理」が「海外ビジネスにおいてなくてはならないもので重要なこと」である⼀⽅、「相談のメインテーマ」とはなっていないことがうかがえる結果となっています。

保険によるリスクへッジ

ビジネスにつきもののリスクは「保険」をうまく使うことによって予算化し、「ヘッジ」することが可能です。保険を準備している海外進出企業は、どのように⼿配しているのでしょうか。

回答結果:どのように保険の⼿配をしましたか?

「既存の付き合いがある保険会社」を活⽤している企業が多いことがわかります。成功企業に限定すると、その傾向はさらに⼤きくなります。この結果から、信頼できる保険会社との付き合いが事業の安定化に繋がり、海外事業の成功へとつながっている側⾯が浮き彫りになっていると⾔えるでしょう。

出典

本原稿および全てのグラフは、2022年4⽉18⽇〜 5⽉10⽇の期間に、海外ビジネス⽀援プラットフォーム『Digima 〜出島〜』が「⾃社の海外ビジネス展開を検討したことのある担当者265名」を対象に実施したアンケートをもとに作成された「海外進出⽩書〈リスク管理版〉2021-2022年版」を出典元とし、AIG損保で編集したものになります。

海外ビジネス⽀援プラットフォーム「Digima 〜出島〜」のページ(外部のサイトに移動します)

詳しくは「海外進出⽩書リスク管理版 2021-2022
(海外ビジネス担当265⼈に聞く!ウクライナ危機とリスク管理の実態)」を
ご覧ください。

本記事で割愛した質問と回答などもあり、より詳しい内容をご覧になれます。

あわせてこちらの記事もチェック!

グローバルリスクマネジメントの先端を追うキュレーションメディア

まずはお話をお聞かせください

AIG損保にコンタクトする

無断での使⽤・複製は禁じます。