スペシャリスト

国際法務のスペシャリティで紡ぐグローバル保険商品(石井 光)

⽯井 光|Hikaru Ishii
AIG損害保険株式会社
⼤企業・中堅企業セグメント保険部⾨
シニアマネージャー・⽶国ニューヨーク州弁護⼠

2007年10⽉に旧AIU保険会社に⼊社。2012年10⽉まで在籍した後に、他業種で法務・コンプライアンスの経験を積み、2021年7⽉にAIG損害保険会社に復帰。法務の知識と経験を⽣かしながら、主に商品開発の業務に従事している。

グローバルビジネスにおいて、私たちAIG損保の本質的な強みは、次々と保険商品が⽣まれ続ける欧⽶でAIGが開発、提供する保険商品を、⽇本の企業向けにアレンジして提供できることです。

例えば、⽶国で⽣まれた「サイバー保険」を業界に先駆けて⽇本に導⼊したのもAIG損保でした。

グローバルマーケットを視野に開発された欧⽶の保険商品を⽇本のマーケットに導⼊することは、容易ではありません。
⽇本の法規制に則した内容になっているかの検証が必要ですし、異なる商習慣により⽇本企業には馴染みがない補償が含まれていることもあります。特に法規制については、世界の国や地域で異なるため、他国の保険商品をそのまま⽇本に持ち込むことができないケースもあります。

保険商品の根幹は、保険⾦が⽀払われる場合と⽀払われない場合を取り決める保険約款です。私の仕事は、欧⽶の企業向けに作成された保険約款を⽇本仕様に変換することです。

海外の保険約款をそのまま⽇本語に直訳すると読みづらくなってしまうことがあります。⼀⽅で、意訳しすぎてしまうと本来の引き受けの意図から外れてしまうかもしれません。

そもそも、お客さまのニーズとかけ離れていては意味がありません。その微妙な調整をしながら約款を作成していくのは、かなり独特なスキルが求められます。

また、事業者向けの保険では、テーラーメイドでの約款作成が求められる場合もあります。ビジネスモデルや進出先など企業ごとの課題やニーズが異なるためです。欧⽶の先進的な保険商品のことをきちんと理解した上で、お客さまが何を必要としているかを把握し約款に反映することが、とても重要なのです。

こうしたお客さまの様々なご要望も踏まえながら、⼀つの保険約款を作り出していくことは、時に困難を伴います。そのような時に⾃分の⽀えになっているのが、ニューヨーク州弁護⼠の資格取得を⽬指してアメリカに留学した時の経験や、総合商社等の前職で培った契約書のドラフティングスキルです。

また、約款作成においては、お客さまの⽬線をよく理解し、事故対応で前線に⽴ち保険約款に基づいて保険⾦をお⽀払いする損害サービス部⾨からフィードバックをいただくほか、法務部や、必要に応じて外部の弁護⼠にレビューいただくこともあります。

このように、多⾓的なチェックも経ながら、「誰が読んでも同じ解釈と結論にたどり着く約款」を⽬指しています。

⽯井 光(いしい ひかる)
AIG損害保険株式会社
⼤企業・中堅企業セグメント保険部⾨ シニアマネージャー・⽶国ニューヨーク州弁護⼠

2007年10⽉に旧AIU保険会社に⼊社。2012年10⽉まで在籍した後に、他業種で法務・コンプライアンスの経験を積み、2021年7⽉にAIG損害保険会社に復帰。法務の知識と経験を⽣かしながら、主に商品開発の業務に従事している。

本記事の内容は、2024年2⽉時点の事実に基づき記述しています。記事内の数値や部署名または⼈材の所属は現在の内容と異なる場合がございます。

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