2024年4⽉8⽇ 公開
ESG経営のリスクマネジメント シリーズ
企業におけるハラスメント対策のいま
⽇本国内で定着しつつある企業の不祥事対策
セクハラをはじめ各種ハラスメントを含む企業による不祥事に対して、2010年に⽇本弁護⼠連合会が「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」を策定した後は、いわゆる第三者委員会や、社外役員等の外部者を委員とする社内調査委員会を設置して調査を⾏い、その調査結果を公表するというプラクティスが定着。
企業の不祥事をさらに炎上させない対策が進む傾向にあります。
しかしながら、
不祥事対応のミスは⼤きな企業リスクとなります。
情報開⽰と実態との間の乖離・不⼀致に厳しい海外
気をつけるべきは、 不祥事への徹底的な事後対応
特にアメリカ社会では、各種、企業ハラスメントに関する和解⾦は、不祥事の発覚後に取る企業のアクションひとつで⽇本国内の想定をはるかに超える場合があります。
もしも、グローバル展開している⽇本企業が、アメリカで不祥事を起こした時、どういったアクションを取るべきなのでしょうか?
#MeToo運動におけるひとつの提訴
社会現象になった、あの運動 その裏で起きていたひとつの出来事とは?
アメリカでセクハラや性的虐待を告発する#MeToo運動の最盛期にて、C社のCEOであったD⽒による、少なくとも6⼈の⼥性に対するセクシャルハラスメントを告発する内容の記事が公表されました。
この記事が公表された初⽇にC社の市場株価は約6%下落しました。
セクハラ防⽌⽅針の違反に対する提訴
C社の株主は、⽶国証券法違反に基づいて会社と役員を提訴しました。
情報公開を表明する役員のセクハラ関与 加速していく提訴
ますます疑念が深まるC社への視線
告発記事によって、実際にはCEOのD⽒を含むC社の経営幹部が社内に蔓延していたセクハラに関与・助⻑していたことが判明。
原告側の主張は、C社が打ち出していたセクハラ防⽌に関する情報開⽰に「重⼤な虚偽かつ誤解を招く内容がある」というものでした。
訴えの却下を申し⽴てるも 空転していくC社
C社側による訴えの却下を求める申⽴てに対し、裁判所は申⽴ての⼤部分を認めたものの⼀部を却下しました。
役員の⾏動、発⾔、判断、 全ての⾔動を社会の⽬は⾒逃さない
どうして⼀部を却下されてしまったのでしょうか
裁判所は、D⽒が⾃⾝のハラスメント⾏為を積極的に隠ぺいしようとしていたにもかかわらず、⾃らが個⼈的にセクハラを糾弾されていないかのように発⾔している点で、虚偽かつ誤解を招く内容と⾔い得ると判断しました。
結末は、巨額の和解⾦
情報開⽰の内容、役員の⾔動、実態の合致が必要
C社の事案は、 #MeToo運動におけるセクハラの告発でしたが、ESGに関する企業のポリシーや、そのポリシーに従うべき経営陣の発⾔が実態と異なっていた場合には、情報開⽰が虚偽であったとして証券訴訟における責任の根拠となり得るということです。
裁判所の判断を受けてC社側は、1,475万ドル、⽇本円にして20億円近い和解⾦を⽀払うことで和解したそうです。
グローバルな現場でも、
組織と役員を守るために
情報開⽰は、「迅速」かつ「正確」に
役員が取材や公の場で、専⾨家と相談する間もなく発⾔を求められるケースは⼗分に考えられます。もしその発⾔が株主・投資家の投資判断に重要な影響を与える内容であれば、会社や役員が責任追及を受ける可能性もあるのです。
特に、社会的な注⽬を浴びているテーマであればなおさらです。
会社としては、実態と異なる情報開⽰とならないよう、事実関係の確認を迅速に⾏うとともに、開⽰内容の精査を怠らないことが必要です。
掲載情報はすべて掲載時のものです。
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