AIGグループの世界150以上の損害サービスオフィスとつながるAIG損保。そのグローバルネットワークを駆使し、国内外の経営保険リスクや海外訴訟への対応を担うプロフェッショナルのひとりが、ファイナンシャルサービスセンター⻑ 兼 グローバルサービスセンター⻑の荒井知紹だ。⾼度な専⾨知識と海外のAIGとの密な連携⼒を武器に、世界を舞台に挑戦する企業を⽀えてきた荒井が語る、AIGのグローバル損害サービスが誇る独⾃の強みとは。
「最初に担当した海外の製造物責任(PL)保険事案は、今でも強く印象に残っています」
荒井が、ファイナンシャルサービスセンターに担当者として異動してきた2019年、初めて担当したのはアメリカで提起された訴訟事案だった。問題とされた製品は⽇本の調理器具メーカーが販売した⾼価格帯のもの。消費者がケースから取り出す際にケガをして、後遺障害が残ったとして提訴された。
「製品⾃体に問題がなく、説明書やパッケージも適切だったとしても、アメリカでは⾼い消費者保護意識からPL訴訟に発展することもあります。陪審員制度により市⺠感情が判決に反映されやすく、『⼤企業 vs ⼀般市⺠』という構図から、時に⽇本の常識では考えにくい評決が下されることも。損害賠償⾦以上に防御弁護⼠費⽤が⾼額になるケースも多く、巨額のコスト負担や⻑期化する裁判対応への備えが不可⽋でした」
⽇本とは異なる訴訟環境で、現地事情に則した戦略が求められる事案。司令塔となった荒井はお客さまであるメーカーへの対応を担うと同時に、訴訟対応は現地のAIG拠点と密に連携して対応した。このような体制構築が可能なのは、AIGグループが世界150以上の損害サービスオフィスを構え、4,400名以上の損害サービススタッフが在籍するほか、約1,300の提携弁護⼠事務所や各国の調査・専⾨機関と連携し、海外で発⽣した事故やトラブルにも迅速・適切に対応するネットワークを持っているからだ。
お客さまはエンドユーザーが安全に製品を使⽤できるよう、製品づくりやパッケージ、説明書などに細⼼の注意を払ってきた。製品への⾃負がある分、当初は「うちの製品に限って」という戸惑いや申し⽴てへの感情的反発もあった。荒井はその想いを受け⽌めつつ、訴訟⻑期化によって膨らむコストや⾵評リスク、現地の訴訟環境の難しさを丁寧に説明し、弁護⼠費⽤や⼼理的負担を抑える観点から⽰談を提案し、解決に導いた。
初の海外PL事案だったが、先輩や上司、グローバルのスタッフからシェアされた豊富な知⾒を⽣かし、お客さまからは「あなたに対応してもらって本当によかった」と感謝され、特別な経験となった。
「こちらが結論を押し付けると、お客さまの⼼は動きません。気持ちや主張を受け⽌めたうえで、起こり得るリスクや状況を冷静に説明し、AIGの知⾒を⽣かした合理的な選択肢を提⽰しています。お客さまが最善の選択肢にたどり着けるよう、伴⾛しながら丁寧にガイドする姿勢を⼼がけています。最終的にはお客さま⾃⾝が納得して選択できるよう、“余⽩”を残すことも⼤事にしています」
6年たった今も、荒井のスタンスは変わらない。押し付けない姿勢や⼼情に寄り添った説明など、お客さまとのコミュニケーションの仕⽅は上司から⾼く評価され、後進の⼿本となっている。
荒井は2024年4⽉より、グローバルサービスセンターでは海外PL保険など、海外訴訟やクロスボーダーな事案に精通する専⾨領域をリードする。ファイナンシャルサービスセンターでは国内外問わず、企業の経営リスクや情報リスクに対応する経営保険商品の担当もリードする。2つのサービスセンターで40種類程度にも及ぶ多様な商品を扱う。どちらも⾼度な専⾨性が求められる部署だ。
現在は8名の担当者を束ね、保険⾦⽀払いのマネジメントを担い、新規案件の担当者アサイン、助⾔を含む案件進⾏の適切な管理、保険⾦⽀払いまでのプロセス確認などを⾏う。海外事案や⾼額事案も多く、経営層へのレポーティング業務など、海外オフィスとの連携が⽇常にある。
荒井のキャリアは2011年、特定派遣社員として旧AIU保険会社(現AIG損保)に派遣されたところからスタートした。当初は⾃動⾞事故の簡易事案を担当し、半年後に企業賠償保険、正社員登⽤後には⾃動⾞・⽕災・傷害医療・賠償保険など幅広い保険を担当してきた実績を持つ。その後、企業賠償の担当者としての経験を経て、ファイナンシャル/グローバルサービスセンターへ。その過程でひとつの転機となったのが、2019年秋にイギリスで⾏われた1カ⽉間の研修だった。
研修先となるイギリスの経営保険損害サービスチームでは、ソリシター(事務弁護⼠)の資格を持つ社員が業務過誤賠償責任保険や役員賠償責任保険の事案を直接担当していた。⽇本では必要に応じて知⾒を持つ外部弁護⼠に意⾒を仰ぎ、損害サービス担当者が対応する仕組みが⼀般的なため、その体制には驚いたと荒井は語る。
「当時得た知⾒として今も⼤事にしているのが、各国の法律や賠償責任の考え⽅を積極的に学び、現地と密に連携することです。海外事案に携わる⽴場として、現地の法律や判例、法実務に関する知識は⽋かせません。とくに賠償責任の有無や範囲を判断する際は、保険の適⽤範囲だけでなく、その国や地域の法的評価を知ることは必須です」
国や地域ごとの法的評価や⼈々の価値観は異なる。だからこそ、世界各国にいるAIGの損害サービスメンバーと密に連携して相談・情報共有を⾏い、具体的な対応策を議論することでグローバルな知⾒を⽣かした最適な対応を⽬指している。
「形のない保険商品は、事故やトラブルといった『いざというとき』に初めて、その価値を証明する必要があります。保険が真の役割を果たすときに事故担当者⾃⾝がいわば保険の商品へ転化する、この点に⼤きな意義を感じ、使命感を持って業務に取り組んできました。これまでも、これからも損害サービスの現場で、困っているお客さまに寄り添い、安⼼できるサービスを提供してまいります」
お客さまと丁寧に向き合い、法律や⽂化の違いにも真摯に寄り添いながら、「最適解」を探求する荒井。その姿勢は、世界中の拠点と⾼度な専⾨性をもつプロフェッショナルが連携するAIGの真髄を体現している。頼れる「⼈」がいるからこそ、AIG損保は世界に挑戦する企業の強い味⽅であり続ける。
荒井 知紹(あらい ともあき)
AIG損害保険株式会社
ファイナンシャルサービスセンター⻑ 兼 グローバルサービスセンター⻑
2011年1⽉旧AIU損害保険株式会社に⼊社。国内外の企業系の⾼額かつ複雑な事案を数多く担当してきた。とりわけ経営保険等の専⾨性の⾼い分野において、多⾓的なアプローチに基づく的確な事案分析により、お客さまを最適な解決に導くことでお客さまからの信頼を得られるスペシャリストとしての地位を確⽴してきた。現在は現場の責任者として次世代を担う傘下メンバーの育成に注⼒しながら、精⼒的にお客さまのリスクマネジメントにも参画し、社内外から⾼い評価を得ている。
本記事の内容は、2025年10⽉時点の事実に基づき記述しています。記事内の数値や部署名または⼈材の所属は現在の内容と異なる場合がございます。なお本記事は、Forbes JAPAN BrandVoiceへ寄稿した記事です。より多くの⽅にご覧いただくため、当社ホームページに掲載しています。
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