社用車の維持コストを削減する方法とは?

社用車を購入することで、業務を効率的に進められる業種もありますし、使用頻度が低くても所有することで便利なこともあります。また、社用車を購入するかどうかを迷ったときに、税務面でのメリットを考慮する経営者もいらっしゃるでしょう。しかし、実際に社用車を所有した場合、維持にかかるコストが発生することも忘れてはいけません。会社が好調なときに節税として社用車を購入したものの、不況で収入が減っても維持費がかかり続けると大変なことになります。

ここでは、社用車のコストの見直し方法や、営業効率を低下させないコスト削減方法をご紹介します。

社用車の実態と利用傾向

社用車のコストについて見直す前に、ほかの企業の社用車の実態について気になる人もいるでしょう。

まずは、弊社が2020年9月に行ったアンケート(※)から、社用車の実態と利用傾向をご紹介します。

(※)AIG損害保険株式会社「法人車両調査レポート【2021年】」

対象:年商500万~100億円未満、かつ従業員数300人未満の会社経営者または従業員(勤務先に社用車があり、社用車の保険業務に携わっている方)

社用車の保有台数およびリース・カーシェアの併用状況

社用車の保有台数は、企業規模や業種にもよりますが、10台未満の保有数が回答全体の約7割を占めています。

この約7割の保有台数の内訳として、63.3%が購入車のみを利用し、リース・カーシェアのみの利用は20.1%しかありません。また、企業規模が大きくなればなるほど購入者およびリース・カーシェアの併用率が上がっています。

 

社用車の保有台数

出典:AIG損害保険株式会社「法人車両調査レポート【2021年】」 

社用車1台あたりの維持コスト

社用車1台あたりに、どれくらいの維持コストがかけられているのでしょうか。勤務先に社用車があり、社用車の保険業務に携わっている従業員または経営者を対象としたアンケートでは、「わからない」という回答が約7割を占めていました。この回答は、保有台数が10台未満の企業では68.9%、10台以上の企業では72.5%と、保有台数による差はほとんどありません。

なお、「わかる」と回答した場合の平均維持コストは、年間約84万円となっています。

社用車の導入実態

社用車がどれくらい使われているのか、導入実態を見ていきましょう。まず社用車の利用者です。これは、社用車1台を1人で利用するケースが58.0%、複数人で利用するケースが38.5%となっています。この結果は、企業の社用車保有台数による変化は見られませんが、製造業や運輸業、郵便業では、個人で利用するケースは7割近くにアップし、反対に医療、福祉系では34.4%と4割を切っており、業種によって違いがあるのが特徴です。

次に、社用車1台あたりの年間走行距離は分散傾向にありますが、5,000km未満が一番多く19.3%となっています。また、5,000km未満を含む1万5,000km以下の合計が6割以上を占めていることから、月に1,000km前後の利用が多いといえそうです。

ドライブレコーダーやテレマティクスの導入率

ドライブレコーダーやテレマティクスの導入率について見ていきましょう。まず、ドライブレコーダーです。これは、全体的に導入傾向が高く、平均で63.3%になります。一見、低い導入率に感じますが、ETCと同様にテレマティクスを導入する企業は、ほぼ導入を完了したという見方もあります。また、業種による変化はあまり見られませんが、保有台数別に見ると、10台未満の企業が57.9%、10台以上の企業が77.1%と、大きな差があります。導入理由としては、「事故やトラブルの際の証拠になるため」「従業員や社用車の安全確保のため」という回答が多く、事故を起こした場合の対策や、従業員の安全を意識しての導入となっています。

従業員の安全対策としては、ドライバーの運転状況を記録し、安全運転をしているか、急制動をしていないかといったことを確認できるテレマティクスも有効です。しかし、導入している企業は17.7%と低い結果となっています。導入したいかどうかの質問も、「導入したい」と考えているのは2割前後で、「わからない」「導入したくない」というのが大半です。これは、テレマティクス自体の認知度が低いこともあり、前述のドライブレコーダーとは反対にマーケットへの導入率は、まだまだブルーオーシャンといえます。

マイカー業務使用手当

厳密には社用車ではありませんが、従業員が所有するマイカーを業務に使うケースもあります。この場合、業務に使用したガソリン代を負担したり、走行距離に応じて手当を支給、自動車保険料を全額負担したりするなど、何らかの形で「マイカー業務使用手当」を支払っている企業が約9割に上りました。

一方で、約1割の企業がマイカー業務使用手当を支払っていないと回答しました。従業員の所有物を業務に利用しているにもかかわらず手当を出さない理由としては、「ほかの手当で充当」などの正当な理由もあれば「コストがかかるから」「マイカー業務使用手当が一般的だとは思っていないから」など、従業員にとって不利な内容もありました。

社用車に必要な年間維持費とは?

前述したアンケートでは、平均で年間84万円となっている社用車の年間維持費です。これは、具体的にどのようなものがコストとしてかかっているのでしょうか。

自動車税種別割

自動車を所有していることで毎年かかる「自動車税種別割」という税金は、「排気量」や「車種」「用途」によって税額が変わってきます。

例えば、排気量が「1リットル以下」で車種が「貨客兼用車」の「営業用」であれば、年間1万200円となります。

自動車重量税

「自動車重量税」は毎年ではなく、新車登録時と車検時にかかります。こちらも「排気量」や「車種」「用途」によって、税額は変わってきます。

例えば、排気量が「1リットル以下」で、車種が「乗用車(エコカー外)」の「1年事業用」であれば、年間2,600円です。

自賠責保険料

「自賠責保険料」も、新車登録時と車検時にかかってきます。こちらは、「期間」と「重量」「車種」「用途」によって税額が変わってきます。

例えば、期間が24ヵ月で重量が「2トン以下」、車種が「普通貨物車」の「営業用」であれば、年間3万5,630円です。

自動車保険料

任意の「自動車保険」も、毎年かかる維持費です。任意であれば加入しない方法もありますが、万が一の企業責任を考えると必須です。こちらは、「車種」や「使用目的」「使用地域」「補償内容」などによって変わります。

車検費用

車検時には、車検費用もかかります。車検費用には、車検証や保安基準適合証の交付を受ける際に必要な「印紙代」が含まれます。印紙代は、指定工場か認定工場かの違いや車種によって変わりますが、1,100円から1,800円程度です。この印紙代は、前述した「自動車重量税」「自賠責保険料」とともに、車検の法定費用と呼ばれています。

また、車検に合格するために各種ペダルの点検や、オイルやブレーキパッドといった消耗品の交換にかかる「整備費」も必要です。整備費は、車の使用頻度が高く使用年数が長くなると摩耗や劣化も進み、高くなっていく傾向があります。

整備点検費用

自動車には、法律で法定点検と呼ばれる点検整備を義務づけられています。車検のように違反を確認されることはありませんが、事故などの際は法定点検が行われていたかどうかが問題視されるケースもありますので、必ず行いましょう。

燃料費や高速道路料金

燃料費や高速道路料金などの移動に使う費用も、維持費のひとつです。稼働率にもよりますが、ガソリンの値上げなどが行われると、大きく費用が増える可能性もあります。

そのほかの費用

そのほかの維持費としては、駐車場代が必要だったり、リースの場合にはリース料がかかってきたりもします。このあたりは、企業によって異なるでしょう。

社用車のコスト問題を解決するには?

社用車を所有するには毎年、かなりの維持費がかかります。では、このコストの問題を解決するには、どうしたらいいのでしょうか。

まず大切なのは、維持コストの把握です。アンケート結果にもあったように、維持費がいくらかかっているのかを把握していないのでは、無駄遣いをしているかどうかさえわかりません。

そして、社用車の稼働状況の把握も必要です。実際に稼働率が低いのであれば、社用車を持たないという選択肢もあります。また、普通車ではなく税金が安く燃費のいい軽自動車に買い換えるのも方法のひとつです。

もし、稼働率使用頻度は高いものの、複数台持っているというケースであれば、社用車の稼働をスケジュール管理することで、余剰車両を削減することができるかもしれません。また、余剰車両を削減するという意味では、一部カーシェアなどを活用する方法もあります。

まずは、何が無駄なのかを見極め、コスト削減に何ができるかを考えてみましょう。

テレマティクスを活用し、社用車をエコドライブしよう

社用車の維持費を削減する方法のひとつに、エコドライブがあります。しかし、従業員にエコドライブを指示しても、簡単には実現できません。そこで、運転状態を把握し、社用車の燃費、CO2排出量、アイドリング、稼働状況などを可視化できる、テレマティクスの導入を検討してはいかがでしょうか。

従業員の運転状態を見守ることは、安全管理にもつながります。AIG損保では、法人向けテレマティクスサービス「スーパードライブガード」をご用意しております。ぜひ、導入をご検討ください。

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