飲食店において、食材の仕入れ先は店舗によってさまざまです。近隣の商店やスーパーで食材を購入している飲食店も少なくありませんが、実はこれらの仕入れ先だと損をしている可能性があります。経営を改善するためにも仲卸業者の活用を考えてみてはいかがでしょうか。ここでは飲食店の仕入れ先の種類や仲卸業者を活用するメリット、仲卸業者の選び方などについてお伝えします。

飲食店の食材仕入れの方法は?

食材の仕入れ先として、まず思い浮かぶのが近隣の小売店です。八百屋やスーパーなど近場にある小売店での仕入れは手軽なので、活用している方も多いでしょう。小売店は気軽に足を運ぶことができ、商品を手にとって確認できるのがメリットです。ただし、ほとんど現金での支払いになるため資金繰りに頭を悩ませることが多く、お店によっては仕入れが高くつくこともあります。

一方、業務用スーパーも仕入れ先として魅力的です。品揃えが豊富なところが多く、食材を低価格で販売しているお店も少なくありません。とはいえ、一般的なスーパーよりも店舗の数が少ないため、手軽に利用できない飲食店も多いでしょう。また、業務用スーパーも掛け払いや配送に対応していないケースがほとんどです。

築地市場や豊洲市場といった卸売市場も、仕入れ先として利用できます。市場の仲卸業者を利用することによって新鮮な食材を手に入れられるだけでなく、他所に流通していない珍しい素材と出会える可能性があります。
週に2日ほど休場日を設けているので、仕入れたくても仕入れができない、という事態が発生するおそれはあります。しかし、これから飲食店を開業する方や、はじめたばかりの方にとってメリットが多いので、ぜひ活用したい仕入れ先です。

仲卸業者とは?

仲卸業者は、物流においてとても重要な役割を担っています。まず、漁師や農家などの生産者が市場に食材を持ち込みます。この食材を卸売業者に委託し、仲卸業者が市場内でセリや相対取り引きなどにより購入します。そして、それを小分けにして販売する、という流れです。基本的に相場を作り出すという役割がある仲卸業者は、物流の中核を担っています。また、卸売業者や仲卸業者は公的な許可が必要な職種であるため、市場や食材の価格に対する影響力も大きいといえます。

ほかに、仲卸業者から仕入れた品物を飲食店や小売店などへ提供する「買出人(かいだしにん)」も存在します。全国で見ると、この買出人は数万人いるといわれています。

仲卸業者を活用するメリット

仲卸業を営むには高いスキルやノウハウ、経験が必要です。市場で食材を評価し価格をつけているので、確かな目を持っていないとできる仕事ではありません。つまり、仲卸業者を利用すれば、自身が目利きできなくても、よい食材を仕入れやすくなるというメリットがあります。

また、仲卸業者の中にはマグロを見続けて数十年、貝類を扱って数十年というベテランも大勢います。そのような食材のプロフェッショナルと付き合うことで、食材についての知識やノウハウを学べるのは、仲卸業者を利用している飲食店オーナーの特権だといえるでしょう。

さらに、業者と契約すれば、食材をお店へ定期的に配達してもらうことが可能になります。新鮮な食材を直接店舗まで届けてくれるので、飲食店オーナーは自ら買い出しに行く必要もなくなります。これまで買い出しに費やしていた時間を、新メニューの開発やお店のプロモーション、人材の育成といったことに使えるようになるでしょう。



さらに、小売店などで購入するよりも、よい食材を安く買えることが多いのも嬉しいポイントです。小売店も仲卸業者から購入した食材をお店に並べることがあり、その価格には当然ですが小売店の利益が上乗せされています。仲卸業者から直接買い付ける場合、小売店のマージンがなくなる分、食材を安く手に入れることができるのです。また、小売店を仲介すると、小売店の店頭に並べられるまでにどうしても時間がかかってしまうため、その分新鮮さが失われてしまいます。仲卸業者を利用すれば新鮮な食材を提供することができますし、原価率を抑えられることで営業利益アップにもつながるはずです。

よい仲卸業者の見極め方

仲卸業者の数はとても多く、その中から適切な仲卸業者を選ぶのは骨が折れます。しかし、仕入れ先の質は飲食店が提供するメニューや食材の品質に大きく影響するため、妥協してはいけません。

選ぶポイントはいくつかありますが、まずは価格を確認しましょう。素晴らしい食材を扱っていて、かつ人間性が信頼できると感じた仲卸業者でも、価格が高すぎる場合は利用を控えましょう。飲食店の利益は原価率に大きく左右されるので、できるだけ良質な食材を少しでもリーズナブルな価格で手に入れるのが鉄則です。ほかの卸売業者と比較し、価格が突出しすぎていないかは必ず確認してください。
価格をチェックする具体的な方法として、相見積もりがあります。複数の業者から見積もりをとって、価格や内容を比較する方法です。比較対象があれば業者を決めやすくなるので、相見積もりを必ず行うようにしましょう。また、現金割引や季節割引といった割引条件も、あわせて確認しておくとよいでしょう。

価格チェックで利用する仲卸業者の候補が見つかったら、次に扱っている商品の品質を確認します。どんなに安くても品質に問題があると、飲食店の経営に大打撃を与えてしまうおそれがあります。味にこだわりたい飲食店なら、なおさら食材の品質を疎かにできません。原産地などの情報をチェックするだけでなく、直接サンプルを取り寄せて品質をチェックしておきましょう。その際に、実際に調理して食べ比べてみるのもおすすめです。

価格と品質を確認できたら、最後に供給量をチェックします。必要な食材を安定して供給できなければ通常メニューを提供できなくなるリスクがあるため、安定した供給を約束してくれるかどうかがポイントになります。また、大口の発注だけでなく小ロットにも対応してくれるかどうかといった点も確認しておくと安心です。ただし、その日の仕入れなどでメニューを毎日変更するタイプの飲食店であれば供給量が問題になることは少ないでしょう。複数の信頼できる仲卸業者を見つけて、その日のニーズに合ったものを仕入れた方が、飲食店の方向性にマッチしていると考えられます。

見極めるポイントはいくつもありますが、大切なのはトータルでのバランスです。価格が安くても品質が悪ければ利用できませんし、品質がよくても価格が高いとなると経営を圧迫してしまいます。安くて高品質でも安定した供給ができないとなると、結局近所の小売店で買わなくてはならなくなるという事態も考えられます。しかし、仲卸業者の数は多いので、探せば自分の店舗に合った条件の業者を見つけられるはずです。

まとめ

小売店よりも安く購入できたり、契約すれば店舗まで定期的に配送もしてくれる仲卸業者。飲食店にとって頼もしいパートナーとなってくれるのでメリット大。今まで、業務用スーパーや近所の小売店で仕入れていたという飲食店オーナーも、ここでお伝えした業者の見極め方を参考に、仲卸業者を活用してみてください。

 

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