1 はじめに

とかく疲れやすい現代社会において、「うつ病」は誰もがかかる可能性のあるものとして認知されるようになりました。うつ病にはさまざまなタイプがありますが、中でも特に冬に増える「季節性情動障害」は、日照時間との関わりが深いもの。自然が相手なので対応は難しそうですが、事業者が注意することで一定の防止効果はあります。
そこで今回は、従業員の心身の健康を守るための方策を紹介します。

2 どのような状態をうつ病というのか

「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」症状のことを「抑うつ気分」といいます。精神医学では「抑うつ状態」といいますが、これが一般にいう「うつ病」です。そして、自分以外に原因がある「外因性」、特定の病気や薬剤が原因の「身体因性」、一番罹患数が多く、脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっていることが原因と推測されている「内因性」、本人の性格や環境に影響された「心因性」などに分類されます。原因や患者によって異なりますが、おもな症状は次のようなものです。

<自分で感じる症状>

  • 憂うつ
  • 気分が重い
  • 沈む
  • 悲しい
  • 不安
  • イライラする
  • 元気や集中力がない
  • 好きなことでもやりたくない
  • 細かいことが気になる
  • 悪いことをしたように感じて自分を責める
  • 物事を悪いほうへ考える
  • 眠れない
  • 死にたくなる

<周囲が見てわかる症状>

  • 表情が暗い
  • 涙もろい
  • 反応が遅い
  • 落ち着かない
  • 飲酒量が増える

<体に出る症状>

  • 食欲がない
  • だるい
  • 性欲がない
  • 疲れやすい
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 動悸
  • 胃の不快感
  • 便秘ぎみ
  • めまい
  • 口が渇く

業務に差し支えるものですし、本人の心身にとっても良くない状態であることは確かです。早期に治療を始め、原因の特定と排除、投薬、場合によっては休養などの措置をとるべきでしょう。

出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス/うつ病」

3 冬に多いうつ病の一種「季節性情動障害」とは

冬が近づくと昼の時間が短くなり、太陽光にあたる時間も少なくなっていきます。そして、そのことが原因となってうつ病の症状が現れる場合があります。このような症状のことを季節性情動障害といい、以下のような症状が直近2年間で2回以上起きた場合にそう判断するという方法も使われているようです(この判断基準の一例は、アメリカ精神医学会が定めた「DSM-5」を参考にしたものです)

  • 1年のうち、特定の季節だけ発症する。その季節を過ぎると症状が軽くなるか、躁状態になる。
  • 社会的なストレスなど、季節以外の要因は関係しない。
  • 発症しているときは気持ちが落ち込み、体がだるくて疲れやすい。

季節性情動障害の患者は、世界的に「冬の日照時間が短い地域」に多く見られるもので、日本では北陸や東北地方の日本海側に多いようです。

4 季節性情動障害を防ぐには

うつ病の患者に対し、一般に行われるのは薬による治療です。しかし、薬剤によって症状が悪化してしまったり、逆に原因になってしまったりすることもあります。また、薬剤が有効でない場合もあるため、厚生労働省ではそれらを見極めた上で、治療法を決めるよう医療関係者に求めています。

また、うつ病は早期発見が何よりも大切とされています。本人に自覚症状があっても、日々に追われて時間がないといった理由や、自己診断で済ませたり、人の目を気にしたりすることが医者にかからない要因となっているようです。

季節性情動障害も同様に、早めに発見をして治療を行うことが重要ですが、それ以前に季節性情動障害にならないよう対策を行うことも可能です。日光にあたる時間が減ったことが原因ですから、太陽の光になるべくたくさんあたるのが最大の対策です。

例えば、朝いつもより早く起きて散歩をしたり、いつもより早い電車に乗って一駅手前から歩くようにしたりする。お昼休みも外で食べたり、少し離れたお店まで歩いて行ったりするなど、すぐに実践できることはたくさんあります。こういったことを従業員に呼びかけることで、冬の季節性情動障害を予防できるでしょう。

参考:NIKKEI STYLE「毎年なぜか気分どんより… 冬の鬱病」

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