リアルストーリーズ

社員を守るために入った保険が、会社の未来を守ることにつながった。

新技術を取り入れる勇気が経営課題を解消

“戦略的に”事故を減らす方法を探していた

「株式会社Fujitaka(以下「Fujitaka」という)の社員さんたち、どうもETCを通るスピードが他社より速い気がするんです。このままだと危ないですよ」。ETC組合から、そんな報せを受けとった取締役の菊田資士さんは、ハッとした。ちょうど社用車事故の増加に頭を悩ませているところだったからだ。

Fujitakaの創業は1975年。業務用機器などのモノづくりやメンテナンス、SDGsを意識した店舗の設計や施工、次世代化、省力化、ロボット化などを幅広く行う企業だ。京都本社を筆頭に、全国に30以上の拠点を持ち、所有する社用車は約160台。営業車、あるいは工事やメンテナンスに向かうための車両として使っているという。

「幸いそれまで人身事故はなかったものの、物損事故によりリスクが高いと判断されて、自動車保険の保険料も年々上がっている状態でした」と菊田さんは4年前を振り返る。

事故を減らすことができれば、第一に人命を守ることができ、さらに保険料も下げられる。本腰を入れて取り組みたいが、方法がわからなかった。

「いろんな会社に相談しましたが、動画で安全講習をしよう、Eラーニングをしよう、それがいかに安価に行えるかという話ばかり。私たちはその場しのぎの対策ではなく、戦略的に、確実に事故を減らしたかった。その願いに応えてくれたのが、AIG損保のスーパードライブガード(Super Drive Guard)※だったのです」(菊田さん)

「まさか…」取締役を驚かせた運転レポートの中身

「提案された時は、大胆だな、と思いましたね。それまでに相談した社が安価を売りにしていたことに比べて、決して安くない金額でしたから」そういって微笑むのは、スーパードライブガードの導入を決断した取締役の上西昌彦さんだ。

スーパードライブガードはテレマティクスを用いたサービスで、小さなマシンを車両に取り付けることで運転データを収集する。AIがドライバーの心理や状態を分析し、異変を察知したらアラートを出す。管理者側はネット経由で各ドライバーの「走行の時間・距離」「運転中の急加速・急発進」「ガソリン消費量」「アイドリング時間」「燃費」といった運転データをチェックできる仕組みだ。運転データをもとに管理者がドライバーとコミュニケーションをとることで、異変の背景にあるドライバーの心理を把握することもできる。

当時、AIG損保の担当者が掲げた目標は、「4〜5年後には、約70%の保険料割引を受けられるところまで事故率を下げる」というものだった。

「とても達成できそうにない、と感じる数字でした。しかし、テクノロジーを用いてドライバーの悪いクセを一つずつ直し、まずはヒヤリハットを減らすことで事故を減らしていくというのは魅力的な提案だった。そこで、半信半疑のまま、トライアルとして60台ほどに導入したのです」(上西さん)

言われた通りに小さな機器を車両に設置してみたのが、4月のこと。まもなく上がってきた各人の運転レポートを見て、上西さんは息をのんだ。

「これまで曖昧だったものが、数値ではっきりと可視化されていました。まさか、こんなに荒い運転をしていたなんて…。そこから改善に乗り出したのです」(上西さん)

5月、上西さんは運転レポートを各社員にフィードバックし、危険な挙動が見られた社員には逐一注意するという運用をスタートした。

スーパードライブガードはなぜ事故を減らせたか

「まず減ったのは、アラートの回数でした。急ブレーキや急アクセルといった危険な挙動が見られた場合、私のもとにアラートが飛んでくるのです。その場合、翌日には当事者か、もしくは上長に連絡して事情を聞くようにしているのですが、現在はずいぶん少なくなりました」

そう話すのは、システムの運用と社員たちへの安全指導を担当している人事総務課長の古川智啓さんだ。

危険挙動があった社員たちと話すうち、古川さんは気がついた。ドライバーたちは、自分の運転を荒いとは思っていない。だから、繰り返してしまう。会社に運転の様子を監視されていると感じたドライバーたちは、当初、指導を疎ましく感じたようだ。しかし、その運転が標準の範囲を超えていることを何度も粘り強く伝えると、ドライバーの意識が変わり、状況は次第に好転していった。

「これまでは、事故が起きた時にしか指導できなかったものが、『幸い事故は起きていないけれども、危ない運転をしましたね』というところから指導に入れるようになりました。上がってきたアラートを追って、ドライバーの記憶が新しいうちに連絡し、客観的なレポートをもとに指導できるという点が効いていると思います」(古川さん)

Fujitakaでは、運転レポートを各自にフィードバックすることも欠かさない。それぞれのドライバーは、自分の運転傾向をいろんな項目の数値で見ることができ、それらすべての情報を反映したタイプ診断として、各人の運転傾向が4種類の動物でも表現される。

「どういうクセがあるのかを本人が理解しやすく、管理者である私も把握しやすい内容だと思います。運転スキルは人によって差があるため、全体論では響きません。個人ごとに、何が危ないのか、何が足りないのか、本質的なことを客観的に見せてくれる点も事故を減らすことにつながったと感じますね」(古川さん)

新しいものを受け入れる勇気とともに歩み続ける

導入から4年。今、Fujitakaは当時掲げた保険料の目標を達成しようとしている。「まさか本当に実現するとは…。最初は高額だと感じましたが、今から思えば費用対効果は十分でしたね」と、上西さんは顔をほころばせる。

菊田さん、古川さんも手応えがあったと頷く。

「適正な運転をすることによって、車両の燃費も伸びています。CO2の削減にもつながっているので、SDGsに取り組んでいるという証明にもなる。また、自動で運転日報が生成されるので、手書きの運転日報をつける必要もなくなりました。こうした点もうれしいですね。事故削減にかぎらず、経営戦略の面でも良い影響をもたらしてくれました」(菊田さん)

上西さんは社員たちの運転レポートを手に、まぶしげに目を細める。

「会社にとって、社員は何よりの財産です。彼らを守りながら、活躍してもらうのが会社の役目。どんなに耳が痛くても、自分たちが今いるポジションを正確に知ったことで、目指す方向へ一歩一歩進むことができました。変化するのは大変なことだけれど、勇気を出して変わった先には新しい世界が待っているもの。私たちにとって、“しなやかさ”とは新しいものを取り入れる勇気を持つことです。そして、変化を恐れないこと。流通業界の次世代化や省力化、ロボット化などを目指す私たちの業務もまさにそこにリンクします。私たち自身も常に進化しながら、社会に貢献していけたらと思います」(上西さん)

  • SuperDriveGuard(スーパードライブガード)は、AIG損害保険(株)の商標です。
    SuperDriveGuardは、AIG損害保険(株)の協力をうけ、(株)スマートバリューの「CiEMS」をもとに開発したサービスです。
    サービスのご提供にあたっては、お客さまが(株)スマートバリューと直接ご契約いただきます。

<プロフィール>

上西 昌彦(じょうにし まさひこ)
株式会社Fujitaka 取締役 経営管理本部長。
北海道出身。地元企業に勤務後、1991年に入社。各支店総務部門、経理部門を経て、現在は管理部門の総責任者を担当。

菊田 資士(きくた もとし)
株式会社Fujitaka 取締役 店舗事業本部長 兼務 経営企画部広報。
大阪府出身。1985年に新卒で入社以来、店舗開発を中心とした商業空間事業に長年携わる。現在は、トータルソリューションの一環として、広報の役割も兼ねる。

古川 智啓(ふるかわ ともひろ)
株式会社Fujitaka 経営管理本部 人事総務課長 兼務 EDP課長。
香川県出身。大手金融機関に勤務後入社。総務部門を担当し、社用車事故削減への取り組みの他、当社のDX推進を担当。

掲載情報はすべて取材当時のものです。

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