リアルストーリーズ

損害サービスのアジャスターという仕事

もしも車で事故を起こし、他の車や歩行者を巻きこんでしまったとしたら…。頭の中が真っ白になってしまいそうだが、まずは消防と警察へ連絡し、けが人の救護を行う必要がある。

「その後のことは、事故受付の専用ダイヤルまたは代理店にご一報をもらえれば私たちの方でサポートができます」と話すのは、損害サービス部門のアジャスター(支払い担当者)、佐藤麻希子(あきこ)だ。

「AIG損保では、きめ細やかな対応を提供できるように一事故一担当制としています。新たな案件の報告があると、まずは契約者に電話をしてお見舞いを申し上げ、けがの有無や事故の状況などを確認します。相手のある事故の場合は、示談交渉を行うのも私たちの仕事です」(佐藤)

損害サービスセンターに勤めて約10年。担当する案件の4割はけが人が出ている事故だ。そんな佐藤が「それまで経験したことがなかった」という大きな事故を担当したのは、2022年の1月のことだった。

凍結路面によるスリップ事故 母親に寄り添って

凍結路面によるスリップ事故 母親に寄り添って

新年があけて間もない1月3日。雪のちらつく晩だった。仕事を終えた鈴木さん(仮名)は、同僚と食事に行こうと車を走らせていた。その時、突然タイヤがスリップし、車は電柱に激突。路面凍結による単独事故だった。

「車はボンネットが押しつぶされ、命があってよかったと思うほどの状態でした。鈴木さんは救急車で運ばれ、数日間ICUで治療を受けることになりました」(佐藤)

代理店から一通りの状況を聞いた佐藤は、翌日、すぐに緊急連絡先の番号に電話をかけた。出たのは、母親・マサコさん(仮名)である。聞けば、鈴木さんとは二人暮らしだという。人身傷害保険が適用になること、治療費、休業損害や精神的損害などが出ることについて伝え、この日から佐藤は、マサコさんと定期的に連絡を取り続けた。

息子さんの具合はどうですか? 何かわからないことは出てきていませんか? そのつどマサコさんからは新たな質問があり、答えるのが日課になった。

気の休まらない状態では、聞き漏らしもあるかもしれない。佐藤は答えた内容を、必ずマサコさんのスマートフォンにテキストで送った。カメラの操作方法を案内し、病院からの資料を撮って送ってもらったこともある。やりとりを重ねるにつれ、マサコさんの硬かった声が少しずつ穏やかになっていくのがわかった。

保険金以外にも力になれることを探す

この案件を進める上で、佐藤には一つ懸念があった。入院費用のことだ。鈴木さんの場合、大きな手術が行われたため高額になる。一般的に、保険会社から直接支払いを受け入れている病院は多いが、鈴木さんが運ばれた病院はその対応がなかった。

「この場合、鈴木さんに入院費を立て替えていただくことになります。しかし、個人で立て替えるとなると、家計を圧迫することは明らか。それでなくとも、休業による損害が出ており、なおかつ休業が原因で賞与が減額になる恐れもありました。そうなった場合に備え、休業損害や賞与減額の補償に迅速に対応できるよう、お客さまの勤務先に必要な書類を作成してもらい、保険金をスムーズにお支払いするための手続きを進めました。同時に、入院費の立て替えもなんとか避けたいと思い、労災の申請ができるかどうかを確認したのです」(佐藤)

マサコさんが鈴木さんの勤め先に問い合わせたが、残念ながら労災には該当しなかった。つづいて、佐藤は「高額療養費制度」を検討した。入院や通院の費用が一定額を超えると、所得金額に合わせて負担が軽減されるという制度だ。

マサコさんに「高額療養費制度」について説明し、申請のサポートをした。まもなく「承認されたわよ!」とマサコさんから喜びの連絡が来た。こうして、窓口での支払い額を減らすことができた佐藤は、病院との交渉を試みた。

「AIG損保からの入院費用の支払いを認めてほしいとお願いしたんです。病院の返事はOKでした。高額療養費制度の適用を受けていたので、特別に認めてくださったのです。鈴木さんご一家には、立て替えが発生しなかったことをとても喜んでいただけました」(佐藤)

マサコさんも、当時のことをこう振り返る。

「立て替えは仕方がないと思いましたが、佐藤さんのご尽力により請求書の送付だけで済み、転院もスムーズでした。平時の入院にはない心配もあった中、大変ありがたく思いました」(マサコさん)

現在、鈴木さんは無事に退院し、就労復帰をしてリハビリの日々を送っている。

「ここまで順調に回復できたことに驚いています。今の医療、リハビリの技術に加えて、本人の努力もあったとは思いますが、佐藤さんに安心してお任せでき、ただただ感謝の言葉しかありません」(マサコさん)

「損害サービスのオールラウンダーに」スキルを伸ばし、学びつづける

近年は新人教育も任されながら、日々、仕事に情熱を燃やす佐藤。かつては育児に専念する日々を送っており、「楽しかったけれど、外で働きたい気持ちが募って」AIG損保に入社。契約社員からスタートし、周囲からの後押しによって正社員となった。

それから10年。物損事故から人身事故まで、さまざまなケースを担当してきた。とくに相手のある事故では、佐藤らアジャスターたちは“交渉人”となって先方と示談を行う。交渉の席では、お互いの証言や主張が食いちがい、合意に至ることが容易でないことも多い。

「私たちが交渉の中で当たり前だと思っていることが、お客さまにとっても当たり前かというと、そうではありません。まずはお客さまの主張に耳を傾け、その上で専門的な賠償のルールを説明し、認識のギャップを埋めていきます。お客さまと目線を合わせ、同じステージに立つことを目指すんです」(佐藤)

それができれば、あとは前進あるのみ。お客さま本人が何を望み、何を不安に思っているかを的確に汲み取ること。そこまで十分に話し合うこと。これが最も大切で、今でも最もむずかしいことだと佐藤は言う。

経験を重ね、今なお成長をのぞむ佐藤。最近は、損害鑑定人(建物の調査を行い、損害額を算出する専門家のこと)の仕事にも興味があるという。

「先日、地震で被災したお客さまのご自宅の損害鑑定のお手伝いをしました。お客さまと直接会ってお話をお聞きすることは距離がとても近くて、力になれることを実感しました。損害鑑定人の資格取得は大変ですが、これも夢の一つです。AIGは前例にとらわれず、新しいことにチャレンジさせてくれる会社。これからも保険の損害サービスという分野のオールラウンダーを目指して学び続けます」(佐藤)

<プロフィール>

佐藤 麻希子(さとう あきこ)
2001年富士火災海上保険に契約社員として入社。内務業務から業務の幅を広げ、2011年の東日本大震災を機に、本格的に自動車事故の担当者を始める。業務の軸は、「お客さまの期待の一歩先を行くサービス」。2021年に優秀担当者表彰を受けている。

掲載情報はすべて掲載時のものです。

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