リアルストーリーズ

アプリを活用して飲酒運転を撲滅し社員と地域を守る

社用車の運転前後に行うドライバーのアルコールチェックが義務化

「たとえば夜遅くまで飲んだ時、何時間でアルコールが抜けるかは人それぞれ。だから怖いと感じています」

北海道の道北一円で事業を展開している株式会社広立総業代表取締役社長・稲場正英さんはそう語る。

「飲酒運転による痛ましい事故が後を絶ちませんし、もしもひとたび事故を起こせば事故の被害者はもちろん、社会にも大変な迷惑をかけ、本人の人生もダメになってしまいます。社員たちをそうしたリスクから守るという意味でも、会社として対策を徹底してきました」(稲場さん)

警備業務とビルメンテナンス業を営む広立総業では、約140名の社員のうち約半数近くが自宅から営業所への通勤や顧客訪問のために車を利用している。

そのため同社では、「万一飲酒運転が発生すれば懲戒免職に処す」とする就業規則の社内周知を徹底し、長距離を走る場合は1時間ほどで別のスタッフに交代できるようにするなどして安全対策を講じてきた。

2022年4月、飲酒運転を防ぐための道路交通法の改正が行われた。白ナンバー車両※1を所有する企業にも「目視等でのアルコールチェックと記録の保存」を義務化するというものだ※2

この改正が発表された当時、「“目視等”という点があいまいで、アルコール検知器が必要なのかどうか、必要なら1人1台持つべきなのか、それとも事業所に1台あればいいのかなどがよくわかりませんでした」と稲場さんは振り返る。

「法の施行前、正確なところを警察署に問い合わせたのです。しかし、現場が法に追いついていなかったようで、『現時点ではなんともいえない』との返答がありました。どう対処すべきか悩んでいたところ、AIG損保の代理店から、まずは「目視等でのアルコールチェックと記録の保存」を行うための提案をもらったのです」(稲場さん)

企業のアルコールチェックを管理できるアプリ

事故や損害を未然に防ぐ支援を行っているAIG損保では、かねてから法人に必要な自動車保険やリスクコンサルティングの提供などを通じて、企業の車両管理をサポートしてきた。

今回の法改正では、「酒気帯び確認」を行い、結果を「記録」して「1年間保存する」ことが必要になる。この3つの主要なポイントに対応している「日報&アルコールチェック記録アプリ」※3

このアプリは、「酒気帯び確認の結果」をはじめ、「運転日報」「免許期限」「車両予約情報」などをドライバーがスマホ上で登録できる。また、管理者はそれらをPC画面上で確認、承認や保存を行える。このようにデータの集約を自動化することで、管理業務の大幅な削減を狙うものだ。

広立総業では、このアプリを2022年5月から導入し、現時点で利用開始から1年以上が経過した。

アルコールチェックに要する業務量をスマートに軽減

アプリの「運転前記録」の画面。この画面でドライバーが4項目をチェックして登録する。

「社内のドライバーたちは全員、毎日このアプリに情報を入力して、日々のデータを蓄積しています。最初はスマホ操作が苦手な社員もいましたが、日を追うごとに慣れて、今は問題なく全員が運用できていますね」

そう語るのは、同社でアプリを管理している教育課長・松浦大介さんだ。

現在、松浦さんは対面やテレビ電話を通じて、ドライバーが運転する前に顔色や呂律をチェックしている。ドライバーたちは各自、その結果をアプリに記録する。あとは、自動的にデータが保存される流れだ。

「60名のドライバーのアルコールチェックを管理することになって業務量が増えたのは事実。ただ、ドライバーにとってスマホに入力すれば記録は完結するし、管理者にとってはクラウド上でデータを一括管理できる点が便利です。各自の記録を紙で一つひとつ保管するより、ずいぶん労力は軽減されていると感じます」(松浦さん)

飲酒運転を撲滅して社員と地域を守る

広立総業では2023年4月、社員に向けて交通安全講習を実施し、運転に携わる社員たち約60名が参加した。また、12月からはアルコール検知器を使った酒気帯び確認が義務化される予定だ。広立総業では、各事業所や取引先に検知器をそろえるなどして今から準備を進めている。

「会社にはお金では買えないものがたくさんあります。その中で、最も大切なものが社員の命。車を扱う我々にとって、事故が起きないように予防するのも仕事のうちと考えます。飲酒運転の防止のための業務をサポートするアプリをAIG損保の代理店から提案いただけたのはすばらしいこと。優れたシステムであればどんどん取り入れたいし、従来の交通安全講習なども徹底しながら、社員や地域を守るための対策をこれからも続けていきます」(稲場さん)

※1 緑ナンバーは以前から義務化されており、今回の改正で対象を拡大。
※2 事業所で5台以上の車を業務使用する企業。対象乗車定員が11人以上の自動車がある場合は1台以上。
※3 AIG損保の業務提携先である株式会社スマートバリューが開発し、AIG損保がお客さまに紹介している。

<プロフィール>

稲場 正英(いなば まさひで)
1990年創立の株式会社広立総業代表取締役社長。北海道・旭川市に本部を構え、名寄・稚内などに複数の拠点を持ち、約140名の社員が在籍。主に交通誘導警備や、イベント時の雑踏警備、施設警備といった警備業務とビルメンテナンス業を営む。

掲載情報はすべて掲載時のものです。

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