リアルストーリーズ

海外で活躍する日本企業をリスクから守りたい

倒産リスクをカバーする保険がある

日本企業が海外と取引を行うとき、取引先の“倒産リスク”を不安に感じるケースは多い。こうした場合に支えとなるのが「取引信用保険」だ。

これは、いわば“取引先が倒産した場合に備える保険”で、加入したA社がB社にモノを売り、B社が倒産してしまって商品の代金が支払われなかった場合、A社は保険会社から保険金を受け取れる。

「私の夢は、この『取引信用保険』をもっとたくさんのビジネスパーソンに知っていただくこと。日本ではまだ認知度は低めですが、他国と取引することが多いヨーロッパではすでに半世紀にわたる歴史があり、とてもポピュラーな保険です。海外の企業と安心して取引するためには、この保険に入っておかないと不安だ、というところまで認知が高まってほしいと思っています」

AIG損保で信用保険部長を務める益(ます)尚子はそう話す。ボーダーレスな取引は、市場が広がる一方で、売掛債権の貸し倒れや不払いといったさまざまなリスクも増加する。こうしたリスクは自社の事業存続にも関わるため、たとえ親しい間柄の取引先であったとしても、万一のためのリスクヘッジを欠かさない。これが世界のスタンダードだ。

オーダーメイドで希望の保険を作りあげる

「取引信用保険の契約を結ぶ際は、お客さまはどのようなリスクを感じ、どんなリスクヘッジをしたいのかといった希望に沿いながら、オーダーメイドで作っていきます。もし保険料を気にされているなら、免責金額(お客さまの自己負担額)を設定することで安く抑えることができますし、1円から保険でカバーしたいなら保険料はその分高くなりますが、すべてに保険をかけることもできます」

益はこれまでの経験の中で、どんな企業も、長く付き合いのある取引先に対しては評価が甘くなる時があると指摘する。結果として、倒産につながる危険な兆候を見逃し、貸し倒れに巻き込まれてしまうケースも、実は少なくない。

「私たちは第三者として客観的にお客さまの取引先の状況を調査し、そこに潜んでいるリスクを事前に察知することができます。お客さまへ定期的に連絡をして、お客さまが気づいていないリスクをお伝えしたりするのが私たちの役目です」

世界中に拠点を持つからこそできること

保険を設計するとき、契約企業の取引先について、益が率いる信用保険部のメンバーが徹底的な調査を行う。調査先が、日本の企業であれば調べるのは容易だ。しかし世界の企業となると、言語や法律、決算書の見方などが異なるために、調査の難易度は跳ね上がる。

「海外拠点が数多くあるAIGは、その国の事情や企業の様子に精通したその国で働く社員に話を聞くことができることが最大の強み。調査ではまず、企業の財務資料を確認します。もちろん海外の企業の財務資料を日本からでも閲覧できますが、これは過去の成績表でしかなく、未来の予測まではできません。そのため、その国に暮らし、その企業を知る人間の情報や知見はとても貴重な情報源になります。AIGの場合、その国や企業の現状を知る社員が社内にいて、スピーディに取引先に対する最適な限度額を算出できるというのが強みといえるでしょう」

さらに、海外のあらゆるところに拠点を持つことの強みがもう一つある。

「たとえば海外の取引先企業が倒産してしまったとき、保険でお支払いする以外の損害は、お客さまが現地の弁護士を雇い、その国の言語で煩雑な手続きを行って、債権の回収に当たらねばなりません。そのような時、AIGではグローバルなネットワークを駆使してお客さまをサポートすることができます。いざというときに保険金をお支払いすることはもちろん、こうしたサポートも私たちがお客さまのお力になれる点ですね」

企業の意思を尊重する“パートナー”でありたい

益は、この保険を扱う上で昔から気をつけていることがあるという。それは「企業のよきパートナーである」という姿勢だ。

「企業には、その企業にしかわからない展望やお考えがあります。だから、取引の規模を決めるのは私たちではなく、あくまでも『お客さま』。何もかもを全任されるアウトソーシングとしてではなく、企業の意思を重んじ、ときにはアドバイスもさせていただきながら、お客さまの取引拡大のサポートをする。いざというときに頼りにしていただける。そんなパートナーでありたいと常々思っています」

こうした考えのもとで、益が取引信用保険を担当しはじめてからもう20年になる。とくに昨年から今年にかけては、飲食業界や服飾業界などでは、倒産リスクが顕在化したケースもあった。現在も辛く苦しい時期が続いているが、「思い返せば、『この保険に入っていてよかった」という感謝の声を多くいただいた時期でもありました」と益は静かに振り返る。

「取引信用保険は、こうした国内のリスクはもちろん、最初にお話ししたように世界へ打って出る企業のリスクをしっかりとカバーできる“縁の下の力もち”のような保険です。全世界に拠点を持つAIGの機動力を生かしながら、がんばる企業を全力でお守りしたい。それが私たちの使命です」

<プロフィール>

益 尚子(ます なおこ)
AIG損害保険の信用保険部長兼取引信用保険チームリーダー。日本の損害保険会社やメーカーで取引先の与信管理を司る審査部に勤務したのち、2002年にAIU保険会社に入社。入社以降「取引信用保険」の拡充に貢献。

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