メディアなどでLGBTQ+に関する話題が増え、性的マイノリティに対する社会的な関心が高まっており、LGBTQ+に関する取組みを実施する企業も増えています。なかでも日本におけるAIGグループは2016年から社員やお客さま向けに、LGBTQ+への対応や理解促進に向けた活動を本格的にスタート。それらの取組みは評価され、任意団体work with Prideにより選出される「PRIDE指標」の「ゴールド」を6年連続獲得しています。

AIGグループのLGBTQ+の取組みにおいて中心的な役割を担ってきた社員グループ「LGBTQ+ & Allies Rainbow ERG」のプレジデントを務める濱田 なつみ(アメリカンホーム医療・損害保険株式会社 商品企画室)とバイスプレジデントの今市 剛(同社 リレーションシップマーケティング部マネージャー)にこれまでの歩みで見られた変化や、取組みに込めた想いなどを聞きました。

LGBTQ+の存在が当たり前のものに

━━ LGBTQ+ & Allies Rainbow ERG立ち上げから6年が経ちましたね。社内においてどのような変化が見られましたか。

名前
今市

以前は社内でLGBTQ+について話されている様子を見たことがありませんでした。当事者の多くはカミングアウトできずに周囲と協調しながら淡々と仕事をこなしていたと思います。

それが今では、社内の様々な場面で当事者・非当事者に関係なくLGBTQ+について話せるようになりました。そのような雰囲気からカミングアウトしていない当事者の社員も、「この会社ではLGBTQ+の存在が認められて、当たり前のものと理解されている」と感じられるようになりつつあります。

━━ LGBTQ+ & Allies Rainbow ERGのメンバー数はどれくらいですか。

名前
濱田

2021年末時点で990名です。2016年2月に東京本社で立ち上げた当初のメンバーは数名でした。それが今では全国にメンバーがいます。

━━ あと少しで1,000名ですね。メンバーが増えた理由は何でしょうか。

名前
濱田

できるだけ多くの社員に私たちの活動を知ってもらえるようイベントの開催頻度を増やして、ほぼ毎月イベントやキャンペーンを実施しました。同時に、イントラネット、SNS、メールマガジンなど様々な社内コミュニケーションツールを積極的に活用して活動への参加を呼びかけたり、イベントの様子を伝えていきました。

イベントの参加者数が大幅に増加、海外からの参加者も

━━ 外出自粛や在宅勤務などでイベント開催が難しいなか、どのように活動を継続したのですか。

名前
濱田

全てのイベントをオンライン形式の開催に切り替えました。また、イベントに応じて匿名参加を可能にしたり、日英の同時通訳を入れたり、録画を後日公開するなど、より多くの社員が参加できるように工夫しました。

その結果、イベント参加者数は10倍以上に増え、国内だけではなく、海外にいる社員も参加するようになりました。働き方の変化に応じて、より多くの社員に公平に機会を提供できるように運営方法を見直したことで、参加者の幅が大きく広がりましたね。

また、社員の方から「自分はLGBTQ+の当事者で、社内ではカミングアウトしていないから、これまで対面のイベントには参加しづらかった。でも今はオンラインで匿名参加できるようになったからとても有難い」という声が届いたのも嬉しかったです。

━━ LGBTQ+ & Allies Rainbow ERGを運営するなかで、嬉しかったことは何ですか。

名前
今市

私が運営メンバーになったことをきっかけに、今まで全くLGBTQ+について話し合うことのなかった同僚たちと、気軽に意見交換する機会が生まれたことです。さらに、その同僚たちが私たちERGの取組みにとても協力的な態度を示してくれて、精神面でも大きな支えになりました。

━━ 逆に困難に感じたことはありますか。

名前
今市

はい。LGBTQ+の問題については、私自身、仕事や生活の中で様々なことを乗り越えるために自分の中で「終わった問題」として整理した過去があります。周りを変えるよりも、自分が何も感じなくなることの方が簡単だと思ったからです。なので、LGBTQ+ & Allies Rainbow ERG活動の中で「今、何が問題なのか、どう変えるべきなのか」を考える際には、過去に自分の中で蓋をした古傷をまた1から蒸し返すような痛みを感じることがあります。ですが、自身と向き合いながらも少しずつ前に進むことで、私たちの目的である「誰もが自分らしく働くことができる職場環境づくり」の実現に近づいていけたら…と思います。

━━ プレジデントとして一番大変だった経験を教えてください。

名前
濱田

AIGグループはこれまでにいくつかのレインボープライドを協賛しており、LGBTQ+ & Allies Rainbow ERGが中心となってパレードやブースの運営を行いました。それらの様子は社内で取り上げられ、私たちの活動の認知度が広がるきっかけになりました。一方で、LGBTQ+ & Allies Rainbow ERGと言えばプライドパレードというイメージがついてしまって、本来の私たちの活動の目的をもっと知ってもらうにはどうしたら良いのだろう…と悩みました。

そんな最中に私がLGBTQ+ & Allies Rainbow ERGのプレジデントに就任し、運営メンバーと共に本来の目的である「誰もが自分らしく働くことができる職場環境づくり」を改めて見つめ直しました。そして目的を実現するために、地に足を着け、大規模なイベントでの活動だけでなく、内容を深掘りした活動に基軸を向けていこうと決めました。

あらゆる声を聞き、対話を深めていくことが大切

━━ LGBTQ+ & Allies Rainbow ERGの活動で得た気づきがあれば教えてください。

名前
濱田

この活動を通じて、ダイバーシティって何だろう…と自分の中で考えを深めていきました。その中で一番ピンときたのが、ダイバーシティを鍋料理に例えたものです。「食卓の上に野菜、魚介類、お肉、きのこ…など様々な具材が並んでいる状態、これが『ダイバーシティ』。それらが1つの鍋の中に入り、それぞれがうま味を出し合って美味しいスープを作っていく、これが『インクルージョン(受容)』」というものです。この例えは、当事者・非当事者にかかわらず、一人ひとりが重要であるということをいつも思い出させてくれます。

同時に、私たちERGが向く方向は、決して当事者の思いからかけ離れてはいけないと考えています。一人ひとりのストーリーがあり、考えがあり、そして、社会的な歴史があるからです。そのためには、顕在化しているものもまだしていないものも含めて、あらゆる声を聞き、気づくこと、なるべく多くの人と意見を交わし、対話を深めていくことが大切だと考えています。

名前
今市

私もLGBTQ+ & Allies Rainbow ERGは立ち上げ当初から「当事者が抱く思い」が大切にされていると感じています。ダイバーシティへの取組みが、表面的なものではなく本気なんだというマネジメントの強い姿勢が社員を突き動かし、数々の実績につながっているのだと思います。

━━ AIGグループはPRIDE指標で6年連続「ゴールド」を獲得しています。どのように受け止めていますか。

名前
濱田

私たちが熱意を持って取り組んだ結果が見えるかたちで評価されるのは、やはり自信になります。

名前
今市

そうですね。LGBTQ+に取り組む企業が増えているなか、私たちAIGグループが継続的にPRIDE指標のゴールドを獲得できていることは運営メンバーのモチベーションアップにもつながっていると思います。

━━ 今後のLGBTQ+ & Allies Rainbow ERGの目標を教えてください。

名前
濱田

私たちの活動を通じて社員一人ひとりが学び得た新たな気づきが、保険会社として「お客さまに何ができるか」という発想に活かされ、商品・サービスのさらなる発展につながっていくことが目標です。それが実現することをイメージしながら、着実に一歩一歩進んでいきたいですね。

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