突然の乳がん告知で、生活が一変
「自覚症状もまったくなく、暇つぶしで受けた乳がん検診だったので、最初は信じられませんでした」
2011年。傷害・医療保険部の大迫千秋は、がん告知を受けた時のことをそう振り返る。
「がん検診を受けたのは本当にたまたまでした。愛犬の散歩の後にひどい股関節痛を起こして入院、すぐに症状は収まったのですが、しばらく様子をみるということで5日間入院することに・・・。入院中はとにかく退屈で看護師さんにそんな話をしたら『この機会にがん検診を受けてみるのはどうですか?乳がん検診でしたらすぐ受けられますよ』と勧めてくれたのです」
検診の結果はステージ3の乳がん。実は大迫は、祖母と母を共に乳がんで亡くしている。乳がんという病気は他人事でないことを心のどこかでは理解していた。
「乳がん検診を受けたのはそれが初めてだったのです。検査を避けていたのは、乳がんと言われる気がして怖かったから。今にして思えば愚かだったと思います。」
かくして、大迫の日常は一変する。
がん治療に全力を尽くす日々
もともとは生まれ故郷である北海道帯広市の支店にクラーク(事務社員)として勤務していた。入社数年で北海道地区の代表クラークにも選ばれた。代理店のサポートなどで信頼され、会社の勧めで代理店担当者となった。その後、営業においても大きな成果をあげることになる。
「私、保険が大好きなんです。入社当初は保険という商品のことを何も知りませんでしたが、仕事を通して勉強していくうちに、相互扶助の考え方や、小さなお金で大きな安心を買うことができるという仕組みがとても気に入りました。」
特に大迫は、その頃に新しく販売が始まった実費補償型の医療保険の商品優位性に魅力を感じ、社内でトップクラスの成果を出すほど販売に力を注いだ。
その後、本社部門に異動。商品企画やプロ代理店向けのセミナーの企画・運営など、新たな業務にも積極的に挑戦した。どのような環境でもバイタリティに溢れる大迫。その行動力は、がん告知を受けてからも変わらなかった。
「40代にして乳房の全摘出を告げられた際にはさすがにショックでしたが、ヘコんでいても仕方がないので、治すことに全力を尽くそうと思いました。乳がんの治療でどうしてもこだわったのは乳房を再建すること。乳房再建に関する様々な情報を集め、当時住んでいた札幌で乳房再建手術を実施している病院は少ないということがわかりました。調べていくと、東京に実績のある病院があることがわかりましたが、それらの病院にコンタクトをとる方法がありません。途方にくれていた時、加入していた医療保険のセカンドオピニオンサービス「ティーペック」を思い出し、このサービスを利用して、乳房再建をしてくれる病院を見つけることができました。治療で後悔したくないと思っていたので、乳房再建ができると言われた時はほっとして涙がでました。この時から、がんの治療に対して前向きになれたような気がします。」
その後、大迫は住居と職場を東京に移して、がん治療をおこなうことになる。
実体験から生まれたペットに関する費用の補償
仕事には退院からわずか2週間で復帰した。抗がん剤の副作用はそれほど強くなかったため、治療と仕事を両立することができたと大迫は振り返る。しかし、抗がん剤投与から2週間後には、髪の毛やまつ毛が全て抜け落ちた。
「いま振り返っても、脱毛はちょっとキツかったですね……。どこに行くにも医療用ウィッグ(かつら)を被らなければなりません。特に夏場は暑くて暑くて…大変でした。私の場合、もと通りに髪の毛が生えそろうのに3年かかったので、3度も夏を越さなければなりませんでした。」
そんな日々の中、大迫は周囲の仲間たちの温かな心遣いに助けられた。
「脱毛が始まった時は、オフィスの床に長い髪の毛が大量に落ちていたこともありましたが、みんな見て見ぬふりをしてくれました。ある時は、同僚から『髪の毛が全部抜けたらカツラとか被るの?』と聞かれて、『えー!?私もうウィッグ被ってるんだけど、わからなかった?』と言って笑い合ったのを覚えています。そんな調子だったので、不安で落ち込むようなことはほとんどありませんでしたね」
そして、大迫の気持ちを支えたもう1つの要因は、仕事に対する強いモチベーションだった。
「自分が最も魅力を感じて販売に力を注いだ実費補償型の医療保険。その保険を自分が使うことになって、初めて気づくことがたくさんありました。例えば、私にとって愛犬は家族同然で、入院している間、犬の世話が心配で仕方ありませんでした。入院中はペットシッターを雇い、その費用もかなりかかりました。きっと私と同じ思いをしたお客さまもいたはず・・・すぐに『みんなの健保』(現行の実費補償型医療保険)の入院諸費用保険金でペット関連費用の補償拡大ができないか提案。その後、このアイデアは採用となり、入院時にかかるペットシッター代やペットホテルの預入費用が補償対象となりました。」
また、大迫が一番キツかったという脱毛のための医療用ウィッグ、『みんなの健保」はこのウィッグ代を補償する特約もセットできる。しかし、まだ改善の余地はあるという。
「現行の『みんなの健保』の回復支援費用保険金は、退院後に購入したウィッグの費用が支払対象です。しかし近年は手術(入院)前に抗がん剤を投与し、腫瘍を小さくしてから切除する方法もとられるようになっているため、入院前にウィッグを準備しなければいけないケースが増えているのです。現在、この入院前のウィッグ購入費用も支払対象とできないか、検討をしています。小さなことかもしれませんが、こうした改定を重ねていくことで、お客さまに寄り添える商品が作れるのだと思っています。」
がんを経験したことで得られた発見や視点が、自社の商品を一つずつアップデートさせていく。
二度のがん体験から得たもの
一昨年、定期的に受けている人間ドックで、肺がんが見つかった。幸い、早期発見だったため体に負担の少ない内視鏡手術でがんを切除することができた。これも今後の仕事に生きる貴重な体験だった。
大迫は、がんは一度きりじゃない、またがんになるかもしれないが、『みんなの健保』に加入している限り、自分は守られていると感じるという。
「医療保険に加入していなかったら、からだのことだけでなく治療費の心配もしなければなりません。それはとても辛いことです。2度のがんを経験して、治療費のことを心配せずに治療に専念できる『みんなの健保』をもっと多くの方にお届けしなければと思いました。」
大迫は今、仕事が楽しくて仕方がない、病気をする前よりも今のほうが精力的に働けているという。
「『みんなの健保』を多くの方に知っていただくため、全国各地でがん体験セミナーをおこなっています。私は乳がん検診を先送りにしてあやうく命を落とすところでした。
がんは早期発見が大切だということ、また万が一がんや重要な病気になってしまった際の備え(医療保険)の重要性を、これからも多くの方に伝えていきたいと思っています。一日一日を大切に、今できることを精一杯やっていきます」