朝礼での経営者のスピーチは、従業員に自分の想いや熱意を伝えるだけでなく、情報を伝達したり、従業員の士気を上げたりするなど、さまざまな効果を狙えるものです。ただ、毎週続けていると内容がマンネリ化してしまう可能性があります。

ここでは、経営者が朝礼でスピーチをする際のテーマ選びについて解説します。また、基本となる考え方やおすすめのテーマなどを、話し方の注意点と併せてご紹介しましょう。

朝礼スピーチの目的とは?

朝礼は定期的に行われるものだけに、ともすれば形式化、マンネリ化しがちです。朝礼を、形式的な毎週の定期イベントではなく、意義のあるものにするためには、「何のために朝礼を行うのか」をしっかりと定義し、その目的に沿って内容を考えていかなければなりません。

朝礼を行う目的は企業によってさまざまですが、共通する目的は「経営者・従業員みんなでいい仕事をするため」です。経営者のスピーチのテーマも、その基本的な目的に沿ったものを選ぶ必要があります。

朝礼の目的に沿った主な話題

「みんなでいい仕事をする」という目的がある朝礼スピーチで話題にすべき内容は、主に下記の5つが挙げられます。

 

・情報共有やコミュニケーションを促進し、作業効率を上げられるもの

・会社の経営方針や企業の使命を共有するもの

・全員が目指すべき目標を明確化するもの

・従業員のモチベーションを上げるもの

・従業員に気づきをもたらすもの

スピーチでの話し方

「みんなでいい仕事をする」という目的を達成するためには、漫然とスピーチをするだけでなく、聞き手に響きやすい話し方をすることも重要です。どんなにいい話しでも、構成がわかりづらかったり、冗長だったりするとなかなか従業員の心には届きません。

スピーチの長さは3分間ぐらいを目安とし、話題を1つに絞った上で何を伝えたいのかを明確にし、明るく快活に話すといいでしょう。

 

経営者が知っておきたい、朝礼スピーチの話し方のコツ

話の構成はPREP法がおすすめ

話の構成の組み立て方にはいろいろな手法がありますが、最も基本となるのがPREP法(プレップ法)です。PREP法とは、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(実例・具体例)」「Point(結論)」の順番で話を組み立てる手法です。

最初に最も伝えたいことを話し、その理由や具体的な事例を挙げた上で最後にもう一度結論を繰り返すことにより、最も伝えたいことが聞き手の印象に残りやすくなる効果があります。

 

例えば、伝えたいテーマが「笑顔の重要性」なら、下記のような流れになります。

・Point:私は笑顔を大切にしています。

・Reason:なぜなら、笑顔は人を幸せにするからです。

・Example:そう考えるようになったのは◯◯という経験をしたからです。

・Point:以上の理由から、私は笑顔を大切にしています。皆さんも笑顔を大切にしてみませんか?

朝礼スピーチにおすすめのテーマ9選

朝礼スピーチの目的に沿った5つの話題を踏まえて、活用しやすい9つのテーマを紹介します。時事ネタや名言、豆知識など、それぞれのテーマを採用する上での狙いと活用例を、併せて見ていきましょう。

1. 時事ネタ

毎日のニュースの中には、企業のミッションを従業員に伝えたり、全員が共有すべき重要な情報を周知したりするのに役立つものがたくさんあります。

 

例)「EU域内で発売されるスマートフォンの充電規格が統一された」というニュース

「日常で当たり前になっていることでも、改善できることはある」といった気づきを従業員にもたらす。

2. 名言

歴史上の偉人や各界の著名人の名言の引用は、朝礼スピーチのテーマを浸透させる上でうってつけです。本やウェブ上でたくさん紹介されているので見つけやすく、内容に説得力もあります。また、聞く人の印象にも残りやすいといえます。

 

例)「チャンスは貯蓄できない」「幸運の女神には前髪しかない」という名言

従業員に対して、常に準備をしておくことの重要性を伝える。

3. 健康

健康に関する話題は多くの人の関心トピックなので、聞き手の印象に残りやすいといえます。入院など、自身の体験をもとに話すこともできますし、感染症の流行など、健康と密接な関係のある時事問題を取り上げるのもいいでしょう。

 

例)「人間ドックの受診が病気の早期発見、早期治療に結びついた」という自身の経験

健康診断受診の重要性を従業員に周知させる。

4. 豆知識

「今日は何の日」といった雑学や豆知識、ちょっとした整理整頓術なども朝礼スピーチで使える場合があります。ほとんどの人が知らないような知識や、多くの人が関心のある話題だと、興味を持たれやすくなるでしょう。

 

例)「6月5日は、世界環境デーと定められている」という豆知識

企業のSDGsへの取り組みとその重要性について、従業員に周知させる。

5. みずから学んだこと

自身が学んだことの中で、従業員にシェアすることで気づきのきっかけになりそうなものがあれば、それもスピーチのテーマになります。仕事だけでなく、趣味を通じて学んだことや他社のサービス、他社の成功・失敗から感じたことなどを紹介してもいいでしょう。

ただし、仕事の経験から学んだことを取り上げる際は、一方的な訓話や説教にならないように注意してください。

 

例)「登山において方向を見失わないことの重要性」という学び

自分が正しい方向に向かっているか、常に確認をする。目の前の壁が高くとも、一歩一歩進めば、ゴールにたどり着くことができると従業員に伝える。

6. 季節

季節や天気は、誰にとっても身近な関心事なので共感を得やすい話題です。シーズン商品を扱っている企業や季節ごとのイベントが重要な企業であれば、季節ごとの販売アイディアを共有したり、販売状況を周知したりすることもできます。

 

例)「ハロウィンイベント期間中の販売状況」という季節の話題

目指すべき販売目標を周知させ、現在の販売状況を従業員に共有する。

7. 家族や従業員のこと

家族の話題は、経営者がどんな人物なのかを従業員に知ってもらうきっかけになり、円滑なコミュニケーションにつながる場合があります。また、顧客から感謝されたなど、いい働きをした従業員をほめるようにすれば、従業員のモチベーションアップにつながるはずです。

 

例)「顧客からクレームを受けたが、誠実な対応をしたことで逆に感謝された」という従業員の紹介

従業員のモチベーションをアップさせる。

8. 本やテレビ、映画から得た気づき

本やテレビ、映画の中から得た気づきをシェアするのもおすすめです。新しい気づきを紹介することで従業員もそれを話題にでき、社内コミュニケーションのきっかけにもなります。

 

例)「江戸時代はエコな暮らしをしていた」という本の紹介

新たな知識と、工夫をすることの重要性を従業員に共有する。

9. 業界の話題

競合他社の動きや市場の予測、法改正の動向といった業界の話は、普段の仕事と深く関わるだけに、興味を持って聞いてもらいやすい話題です。

 

例)「事業に影響を与えそうな法案が国会に提出されたため、対応を検討しなければならない」という業界の話題

業界動向に関する知見を従業員と共有する。

朝礼の目的に合ったテーマを選ぼう

今回は、朝礼スピーチで活用しやすい9つのテーマをご紹介しましたが、スピーチのテーマはこの限りではありません。スピーチのテーマ探しのために、身の回りの出来事やニュースには、アンテナを張っておきましょう。「これは自社の理念や使命に通じる」など、朝礼の目的に沿った話題があれば、それらをスピーチ用の情報としてストックしておくことで、テーマ選びに困らなくなります。

 

朝礼のスピーチは、全員が目指すべき目標を共有することや、従業員のモチベーショを上げることなど、「みんなでいい仕事をする」という目的に沿った内容であることが第一です。テーマを選ぶ際には、常に朝礼の目的を意識してみてください。

朝礼の目的に合ったスピーチをし続ければ、朝礼は必ずや会社にとって有益な時間として定着・発展していくでしょう。

MKT-2022-516

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