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飲食店を開業すると決心し、厨房機器を探しはじめた方にとって、厨房設備が必要な要件を満たしているかどうかは大切なポイントです。よさそうな厨房設備を見つけても「本当にこの設備でいいの?」と不安になることもあるでしょう。しかし、必要な機器がわからないと正確な初期投資の費用を計算することができません。まずは、厨房に必要な機器をチェックしていきましょう。ここでは飲食店に必須の厨房機器や調理器具、そして中古やリースのメリット・デメリットをお伝えしていきます。
厨房のレイアウト・動線設計をしよう
規模の大小にかかわらず、厨房のスペースを効率的に設計する必要があります。例えば、人がギリギリすれ違える程度の小規模な厨房でスムーズにオペレーションをこなすには、できるかぎり人がすれ違わなくていいようにレイアウトを考えることが大切です。適当なレイアウトだと無駄な動きが多くなり、作業効率を低下させてしまうおそれがあります。もちろん、厨房機器メーカーや代理店などが配置を考えてくれることもありますが、必ずしも自店にとって最適というわけではありません。自分が厨房で実際に調理する場面を想像しながら、レイアウトを考えましょう。
また、機器の配置だけでなく、動線も考えなくてはなりません。理想的なのは、厨房の中央から2~3歩以内の範囲でオーダーの受け取りや調理ができることです。配膳スタッフへの受け渡しや食器の洗浄まで完結できるのなら、申し分ないレイアウトと言えるでしょう。一方で問題のあるレイアウトとして、例えば冷蔵庫を開ける際にコンロの前を通る配置にしてしまうと、調理している人の邪魔になります。そして、盛りつけを行う作業場と配膳スタッフへの受け渡し場所が離れていると、提供時間に無駄が発生してしまいます。このようなレイアウトは避けましょう。
もっとも避けたいのは、先に厨房機器を購入してからレイアウトや動線を考えることです。この順序だと限られた配置・動線の確保しかできなくなるため、無駄が発生するリスクが高くなります。順番としては、まず配置や動線を決め、それに合わせて機器を購入することです。レイアウトを決めるにしても、どのようなリスクがあるのかわからないと難しいので、カタログを見たり厨房機器展に足を運んだりして、予備知識を身につけておくとよいでしょう。
ほとんどの飲食店で使う代表的な厨房機器は?
飲食店を開業するにあたって、これだけは必ず揃えておきたい厨房機器をピックアップしました。
・シンク
業務用としてリリースされているシンクは1~3槽のものが多いですが、舟形シンクと呼ばれるものもあります。舟形シンクは魚をさばくのに向いており、シンクの真ん中にまな板を配置して調理が可能です。シンクを選ぶときには、食品関係営業許可の基準をクリアしているかどうかを確認しましょう。具体的には、2槽以上、かつシンクのサイズが奥行き36cm×幅45cm×深さ18cm以上のもの、と定められています。
・コールドテーブル
コールドテーブルとは、作業台ですが、下部が冷蔵庫になっているタイプの設備です。作業場と一体になっているため省スペース化が可能で、厨房があまり広くない飲食店でも問題なく使用できるでしょう。一般的には高さ80cmのものが販売されていますが、高さを調節できる専用の足も販売されているので、用途に応じて変更できます。厨房機器展などで、実際にどれくらいの高さなのかチェックしておくとよいでしょう。
・冷凍冷蔵庫
冷凍庫と冷蔵庫がワンセットになった設備です。どのような食材をストックするのかによって必要となるスペースが違ってくるので、冷蔵庫を購入する前に食材の運用方法を考えておくとよいでしょう。扉の大きさや数もチェックしておきましょう。扉が大きすぎると通路をふさいでしまうおそれがあるので、動線を意識して検討するようにしてください。
・食器棚
扉つきの食器棚を1台以上設置する必要があります。これは食品衛生法の施設基準で決められています。樹脂製やステンレスタイプのものだと、掃除もしやすくおすすめです。
・ガステーブル
テーブルにガスコンロをセットした機器です。また、ガステーブルとコンベクションオーブンをセットにしているのがガスレンジです。使用できるガスの種類を確認しておき、安全装置がついているものを選びましょう。
・製氷機
アンダーカウンターや卓上、パーチカルなどさまざまなタイプがあります。座席の数に約1.9kgをかけた数字が、必要となる製氷能力の目安です。例えば、座席が10席あったとすると20kg以上の製氷能力があれば安心です。扉のタイプも観音開き、スライドなどがあるので、厨房の広さを考慮して検討しましょう。狭い厨房だと、開き戸タイプよりもスライドドアのほうがおすすめです。
・調理台や作業台
もっとも重視するべきは使い勝手のよさです。サイズも多彩なので、動線やレイアウトなどを考慮しながら選んだほうがよいでしょう。ステンレス素材ならサビにくく、掃除もしやすいのでおすすめです。
調理器具は何を揃えればよい?
調理器具は、厨房で調理をする人数分あると安心です。基本的なところから言えば、包丁やまな板は絶対に必要でしょう。魚を扱うなら刺身包丁など、食材に合わせて複数本用意しておきたいところです。
また、鍋やレードル、フライパンもさまざまな種類があるので、素材や調理方法などで選ぶようにしましょう。下ごしらえ用のボウルやザル、パスタやサラダの盛りつけ用トング、デザートのケーキを焼くのであれば型も必要です。調理に欠かせない調味料を管理しておく、調味料入れも必須のアイテムです。
実売価格と定価の差を意識
メーカーのカタログに載っている定価を見て、高すぎると思ったことがあるかもしれません。ただ、カタログに表記されている定価で取引されることはほとんどありません。実際には、定価の30~70%くらいの割引が行われることが一般的です。特に、これから飲食店を開業する方は厨房機器をまとめて購入するはずです。そうなると、さらに割引してもらえる可能性があります。予算を組むときは、定価ではなく実売価格で試算するようにしましょう。
中古の厨房機器も選択肢に
新品で揃えるほどの予算がない場合は、中古の機器を購入するという選択肢もあります。新品よりも安く購入できるのが最大のメリットです。比較的新しくてきれいなものも多いですし、吟味すれば安価で高品質な機器も見つかります。
しかし、一度使われていたものなので、新品よりも故障するリスクは高くなります。保証がついていないケースもあるため、購入前に確認しておいたほうがよいでしょう。
中古の厨房機器でも、きちんと保証をつけて販売している業者もいます。保証と耐用年数を確認して、長く安心して使用できる中古品を見つけましょう。
リースも有効活用
リースも、格安で希望の機器を利用できる方法ですので、検討してみましょう。厨房機器をリースするメリットは、初期費用を大幅に削減できることです。中古の機器でも、すべてを揃えようとするとそれなりに費用がかかってしまいます。しかし、リースなら毎月決められた金額を支払うだけで使用できるため、最初にまとまったお金を用意する必要がありません。
また、リースした機器は固定資産と見なされるため経費として計上できますし、不要になったときに自ら廃棄する必要もありません。解体や処分に費用が発生することもありません。これらの対応はすべてリース会社がやってくれるので、任せっきりでよいという手軽さがあります。
ただし、リースを利用する際には、リース料を継続して支払えるかどうかの審査があります。この審査に落ちてしまう可能性がある、という点は認識しておきましょう。初めて飲食店を開業する方は、連帯保証人を求められたり、契約が結べなかったりすることも考えられます。
そして、リースは初期費用を抑えることは可能ですが、経営を長く続けることができれば、最終的な支払額は新品で購入したときの総額より高くなることがほとんどです。そのため、まとまったお金を最初に用意できるのなら、リースよりも購入のほうがよいかもしれません。また、所有権はリース会社にあるため勝手に譲渡や廃棄ができず、中途解約すると違約金が発生するといったデメリットもあります。
まとめ
これから飲食店を開業するのなら、まずは厨房のレイアウトや動線を考え、それから機器を導入するようにしましょう。新品で購入できない場合、中古やリースといった方法もあります。予算に合った方法を選択してください。どの方法にもメリットとデメリットがあるので、まずはそれを理解することが大切です。
飲食店のオープンを考えている方は、ここでご紹介した必須の厨房機器、調理器具のチェックリストを参考に、機器を選んでみてください。
*記載されている法令、規則等は記事作成日現在のものです。
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