昨年特に多かった地震!企業での備えは万全ですか?

1 世界的に増加傾向にある自然災害

近年、世界的に大型ハリケーン、地震、さらには気温の異常な上昇による干ばつや山火事、突然の豪雨など、自然災害による被害が増加しています。

日本国内でも、台風やゲリラ豪雨などにより、列島各地に大きな被害が生じていることは、記憶に新しいところですが、特に昨年は地震が多く発生しています。

気象庁によると、昨年、1年間に発生した地震は2,179回と、前年に比べ154回も多く、また、震度5以上の地震についても、計11回発生していたことが報告されています。

そこで、今回のコラムでは自然災害のうち地震にスポットを当てて、地震により企業にどのような被害が生じるのか、事業を継続するためどのような備えをしておくことが必要なのか、ポイントを解説いたします。

2 東日本大震災における震災関連倒産の状況

まず、大地震に見舞われると、企業にはどのような影響が生じるのでしょうか?

東日本大震災では、地震により建物や機械・設備、商品製品等に損害を受けたことなどを原因として、多くの中小企業が廃業へと追い込まれてしまいました。

東京商工リサーチHP:2019年 「東日本大震災」関連倒産(1月度速報値)より引用

東京商工リサーチが公表している上記の統計データからは、震災発生から約3カ月後に震災関連倒産の件数がピークに達していることがわかります。

また、直接的な損害は少なかった企業においても、ガスや電気等の復旧が遅れたため、自社の製品やサービスを供給することができず、結果的に顧客離れを招いてしまい、事業の縮小、あるいは従業員の解雇を余儀なくされた例も多数報告されており、間接的な損害が企業経営に与える影響についても、注意する必要があります。

 

3 地震により企業に生じる具体的な損害

それでは、地震により企業には具体的にどのような損害が生じるのでしょうか。地震により企業に生じる損害としては、以下が挙げられます。

まず、被害の状況次第では事業を復旧するために、建物や機械・設備、商品製品等の修理、再取得あるいは移設費用が生じることもあり、企業にはこれらの費用が必要となります。

また、事業の継続ができなくなると、復旧するまでの間、企業は事業を中断しなければ得られたであろう売上(利益)を失うとともに(事業の中断による機会損失)、売上がない状態にもかかわらず人件費や賃料等の固定費の支払いが続く状況に陥ります。

 

4 企業に求められる資金確保の手立てとBCP(事業継続計画)の策定

このように、地震に見舞われた場合、企業には一時的に大きな支出が必要となることから、地震を原因とする廃業・倒産を避けるためには、日頃から緊急時に必要となる資金をシミュレーションし、どのように資金を確保するかリスクファイナンスについて事前に検討し、「万が一」に備えておくことが求められます。

 

(1)資金の確保

まず、一般的な資金確保の方法としては大きく以下の方法が挙げられます。

 

大規模な地震が発生した場合、通常、中小企業等の資金繰りを支援するため、被災地の政府系金融機関や商工会議所などの中小企業支援機関に特別相談窓口が設置されます。状況に応じて、災害復旧貸付やセーフティネット保証、さらには、既往債務の返済条件緩和措置等を受けられる場合がありますので、まずは、これらをうまく活用することが大切です。

また、リスクファイナンスの一つとして、④損害保険等を活用することは、復旧を円滑に進め、事業活動の中断を最小限に止める観点から中小企業にとって効果的な対策です。

これらの手段を踏まえ、復旧にどの程度の費用が必要か、その費用をどのように工面するのか、「万が一」に備えて平時から検討しておくことが求められます。

 

(2)BCP(事業継続計画)の準備

併せて、早期に事業を復旧させる観点からは、いわゆるBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定しておくことも大切です。

実際、過去の震災時においても、事前にBCPを策定していたことから、早期に事業の復旧に成功した例がいくつも報告されています。

現在、中小企業庁のHP等では、各企業が自力でBCPを策定することができるように様々な支援が行われていますので、これらを積極的に活用し取り組んでみると良いでしょう。

 

中小企業庁HPhttp://www.chusho.meti.go.jp/bcp/

 

東京商工リサーチの統計データが示すとおり、震災による廃業・倒産を避けるためには、早期に事業を復旧し資金ショートを避けることが重要です。

今回のコラムを参考に、自社における事業の継続に必要となる資金の確保は十分か、事業継続計画に不備はないか、今一度見直してみませんか。

 

(このコラムの内容は、平成31 年2月現在の法令等を前提にしております)。

(執筆)五常総合法律事務所 弁護士 持田 大輔